内澤 博昭氏/函館バス㈱ 社長

【2026年9月号掲載】

内澤 博昭氏
▲内澤 博昭氏

内澤 博昭氏(うちざわ ひろあき)

1979年函館市生まれ。函館有斗高校、札幌大学卒。2002年函館バス入社。バス事業部営業課長、次長、取締役バス事業部部長を経て、20年常務取締役に就任。24年専務、25年6月代表取締役兼バス事業部部長。グループ会社エイチ・ビー観光の社長も兼任する。

整備部門に外国人を3人採用し、安全対策強化で地域交通を維持

 函館バスはこの6月16日、外国人労働者の中長期的な在留を認める「特定技能制度」を利用したインドネシア人2人を採用した。グループ会社の函館バス商会にも1人が入社し、3人はいずれも整備・修理部門を担当する。道内バス会社では初めての取り組みで、来年は運転手の採用も予定している。

来年はネパール人の運転手を2人採用へ

――まず整備・修理部門で特定技能外国人を採用した理由、経緯をお聞かせください。
 安全輸送にはしっかりとした安全対策が欠かせません。その強化のためです。自動車への興味や関心が薄くなっているからか、近年はメカニックを目指す若者が減ってきており、地元採用だけではどうしても限界があります。地域交通を維持していくために必要な整備技術の継承に、国籍は問いません。

 3人のうち、1人はもともとバイクの整備に携わっており、ほかの2人は面接後に母国で資格を取得しました。日本語能力も想像以上に高いですね。今は教育者のもとで仕事を覚え、身に付けていく段階ですが、やる気はもちろん、探究心、好奇心も旺盛のようです。

――外国人労働者は今後も採用していく考えですか。
 本州ではかなり進んでいます。当社も来年3月以降に、今度は運転手としてネパール人2人の採用を予定し、すでに内定を出しています。今後も地元採用と並行して求人をかけていくことになるでしょう。 

――近年の社会情勢の変化や物価上昇のなか、労働環境はどう変化、改善していますか。
 地域の足を守る職務の重要性から従業員が将来にわたり安心して働ける環境づくりを進めています。運転手の待遇改善を目的の一つとして昨年12月に運賃改定を行い、今年4月の賃金改定では正社員で1万3000円のベースアップを実施しました。

ICカードの中で圧倒的イカすニモカの利用

――函館は国内有数の観光都市です。今年の入り込み、バス利用状況はどうですか。
 総じて昨年と同等の輸送量を保っています。
 一昨年の「コナン」に続き、今年は映画「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」が公開され、その聖地巡礼もあって、観光客でにぎわっています。7月26日までの「黄金に染まる函館」の特別イベント期間中はラッピングバスを走らせ、たいへん好評でした。また、今年は函館競馬場130周年の節目で、特にJRAプロモーションキャラクターを務める俳優の竹内涼真さんが来場された日はすごい人でしたね。もちろんバスは満車です。

 このほか、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録され5周年であることから、函館の市街地エリアと南茅部の縄文遺跡群最寄りの指定バス停で利用できる「縄文カンパス」を7月25日~10月4日まで期間限定で販売し、二次交通の充実に努めています。

▲高速「はこだて号」は札幌と函館を
1日4往復している

――予約制都市間バスでは、札幌と函館を結ぶ「高速はこだて号」の一部の便が新千歳空港に乗り入れしていますね。
 今年4月のダイヤ改正で一日4便のうち、2便が新千歳空港に停車しています。新千歳空港は2024年の乗降客が過去最高となり、引き続き好調で、函館とのダイレクトアクセスにより新たな需要の創出につながると期待しています。利用者も少しずつ増え、「便利になった」という声をいただいています。

▲来年導入10周年を迎える「イカすニモカ」

――函館バスさんは、福岡に本部を置く西鉄グループの「ニモカ」と提携した交通系ICカード「イカすニモカ」を導入しています。道内バス会社の中では特徴の一つといえますね。
 交通系ICカードの利用者は今、全体の9割を占め、なかでも圧倒的に多いのは「イカすニモカ」です。函館市電との乗継割引やポイントサービスの実施など、お得にご利用いただけるように工夫をしており、来年は導入10周年にあたるので、イベント開催を企画立案中です。

――バス車両の更新などハード面の充実はどう取り組んでいますか。
 この2年間で20台以上を入れ替え、いわゆる古い車両はかなり少なくなりました。お客様からは「きれいだね」という声がたくさん寄せられています。入れ替えたバスの多くは本州大手からの移籍車両を、こちらで寒冷地仕様に施しているのですが、本州には北海道のような塩害がなく、丁寧に整備をしているため、「中古」というイメージはほとんどありません。
 また、JR廃止に伴う代替路線である「木古内―江差線」などは自治体の補助による新車が複数台走っていて、地域のキャラクターを刷り込んだラッピングバスが評判となっています。