下出 大雅氏/㈱ヤシマ商会 社長

【2026年9月号掲載】

下出 大雅氏
▲下出 大雅氏

下出 大雅氏(しもで たいが)

1986年札幌市生まれ。札幌旭丘高校、北海道大学工学部卒。北海道電力に技術職として入社し、泊発電所や本店などで勤務。2019年にヤシマ商会入社。北大時代はゴルフ部キャプテンを務め、個人戦で全道3位、団体戦でも全国大会に2回出場。

消防設備と弱電設備の設置で「人々の生命と財産を守る」

 1954年創業のヤシマ商会は消防設備と弱電設備の設計、設置、保守、点検を主力に事業展開する。4代目社長として2年前に就任した下出大雅氏は「我々の技術で建物の生涯に寄り添い人々の生命と財産を守る」を新たに企業理念として掲げ、一方でネーミングライツ事業に参入するなど積極的な姿勢を見せている。

ネーミングライツで新たなつながり創出

▲消防設備の設置等で
「火災から人命と財産を守っている」

――まず、この企業理念に込めた思いをお聞かせください。
 消防設備と弱電設備はどちらもお客様の命と財産を守る非常に大事なもの。非常時には必ず動かなくてはならない設備であり、設計、設置はもちろん、保守管理、メンテナンスも責務と責任感をしっかり持とうという意味合いです。その建物の新築時からずっと面倒を見させてもらうのが、私たちの仕事だと思っています。
 これまでの70年、ヤシマ商会は人々の生命と財産を守ることに徹してきました。一方で、これからの70年を考えれば、会社としては“守り”から“攻め”へと姿勢を転じていかなければならないと思っています。守るべきものを守り続けるために、会社自身は変わり、挑戦し続ける。そんな会社にしていきたいですね。

――自動火災報知機や消火器などの消防設備はまさに「人の命」に直結します。弱電設備とは具体的にどんなことですか。
 聞き慣れないことばで、なかない主役になれない一面がありますよね。100ボルト未満の電気設備のことで、例えば監視カメラや住宅のインターフォン、病院のナースコールなどです。消防設備とは非常に親和性が高く、どちらも人々の生命と財産を守る設備です。

▲野幌総合運動公園と
札幌市電停留場のネーミングライツ

――2025年度からネーミングライツ事業に参入した目的は。
 社長に就任して、会社ともども業界の認知度を高めたいという思いと、もう一つは地域への恩返しと新たなつながりの創出です。地域の発展に少しでも貢献したいですね。単なる広告ではなく、会社が地域の中に飛び込んで、新しいつながりをつくるための挑戦だと考えています。

――道が管理する野幌総合運動公園が「NOPPOROヤシマ商会スポーツパーク」に、札幌市電ロープウェイ入口の停留場が「ロープウェイ入口ヤシマ商会前」となりました。
 スポーツを通じて多くの方が健康で活気ある時間を過ごしていただきたい。地域のイベントや大会の支援にも積極的に関わっていきたい。おかげさまで、いろいろなことで声を掛けていただける機会が増え、人材の採用活動にもプラスになっています。札幌市電のほうは、藻岩山観光の玄関口として多くの方が利用する場所ですからインパクトは大きく、通勤で電車を利用する社員も会社の名前がコールされることを喜んでいます。

関連会社の新設でAI導入とDX化

――昨年、関連会社としてタイガーコーポレーション(原田弘樹社長)を設立しました。
 防災業界は、まだまだDX化が進んでいません。だからこそ、誰かが最初の一歩を踏み出さなければならない。今後の進化を考えれば、AIやDXへの取り組みは必要不可欠だと考えています。その考えのもと、簡単に言うと、自動火災報知設備の数量を算出し、見積書などの関連書類を作るソフトや消防関係書類の着工届や設置届も自動で作成できるソフト開発をこの1年間で行い、まずは第一歩を踏み出しました。自社の業務改善のために行なっていることですが、広く伝えていきたいという考えです。

――競争力を高めるためにどのような取り組みをされ、今後どんな戦略を描いていますか。
 工事から保守まで一貫して担える強みはお客様の安心感につながります。創業以来70年超で蓄積されたノウハウと事業領域、裾野の広さを生かし、ヤシマ商会のブランドを強化していきます。
 人材面では、早期育成と技能高度化を進めており、例えば、資格取得のための外部講習の費用負担や、取得した資格ごとにポイント付与による給与に反映する制度を設けています。一時的な祝い金でないのは、早く取得して長く勤めてほしいという考えからです。社員の間では資格取得試験の前に「進んでいるか」とか「こういうところがポイントだ」といった会話が雑談の中で自然に生まれていますね。私自身、社員から見て身近な存在でありたいと意識しており、相談しやすい社風が根づいていると思います。
 これまでの70年は、守るために歩んできた。これからの70年は、守り続けるために攻めていく。