田中紀雄氏/㈱3eee 社長

【2026年8月号掲載】

田中紀雄社長
▲田中紀雄社長(左)と「WOOD GARDEN 共生の森」のイメージイラスト

〈自然体験と世代間交流が育む、新たな共生の形〉「WOOD GARDEN 共生の森」3eeeが帯広で9月オープンへ

 介護・障がい福祉事業を中心に保育・外食・システム販売事業等を展開し、社会課題の解決に挑むソーシャルベンチャー企業・株式会社3eee(本社・札幌市)は、2010年の創業以来さまざまな面で進化・発展を続けている。最近では企業向けの海外人材紹介・受け入れ支援に力を注ぐほか、帯広では子どもと高齢者、地域がひとつに繋がる「WOOD GARDEN 共生の森」を9月をめどにオープン予定だ。

▲「WOOD GARDEN共生の森」のイメージ

 十勝最大の都市・帯広の緑ヶ丘公園から約500㍍の場所にある、西16条南6丁目の「WOOD GARDEN 共生の森」。生い茂る木々の中をエゾシマリスが駆け回り、いくつかの池では鯉が泳ぐなど、豊かな自然を体感できる場所だ。これまで同施設では認知症対応型デイサービスを運営してきたが、児童発達支援と地域密着型デイサービスを加えた3業態の複合施設「WOOD GARDEN 共生の森」として9月のオープンを目指して準備を進めている。

 同社は「私たちにしかできない共生社会の実現」を目標に掲げ、これまで函館市や江別市でも共生型施設を運営、帯広においても総合ケアセンター「百年の森」にて高齢者と障がい児童の共生型サービスを実践し、地域の信頼を得て、そのノウハウを積み上げてきた。そこに新たな地域共生モデルを構築し「皆さまの人生に寄り添っていきたい」と田中紀雄社長は話す。

「WOOD GARDENの最大の魅力は豊かな自然環境の中での体験と世代間交流です。子どもも高齢者も自然も“みんなが主役になれる場所”をつくり、五感を使って土の匂いや風がそよぐ音など自然に触れることは認知機能への良い刺激にもつながり、植物の手入れや季節ごとの自然体験などを通じて世代を超えた交流を深めることができます」

 こうも力説する。
「『地域に選ばれるデイサービス』であるには、コンセプトをしっかり持つことが大切。もちろん施設でのケアも有効ではあるものの、自然環境の中で行うケアでしか得られない効果もたくさんあると考えます。また、共生によって子どもたちは社会性を学ぶことができ、高齢者は交流の中で一人ひとりが役割を担い、それが生きがいの創出にもつながります」

道内外で関心を集める海外人材紹介事業

▲自社内でも海外人材が多数活躍

 同社はこうした介護・障がい福祉事業での施設ブランド展開やM&Aによって事業規模を拡大し、経営基盤を強化してきた一方で、これまで注力してきた海外人材の紹介・受け入れを一層強化している。

 海外人材の生活支援や就労のサポートを行う登録支援機関として出入国在留管理庁の認定を受けており、昨年12月には網走市・網走バスの海外人材紹介・採用支援を開始。今春から道内で初めてとなる、特定技能制度を活用したインドネシア出身のドライバーが路線バスのハンドルを握っている。

 この事例に道内外の企業が関心を寄せ、6月11日に北海道運輸局が実施した「バス運転手不足の解消に向けた外国人人材の活用セミナー」には同社の海外人材担当が登壇し、事業紹介や個別相談を行った。

 運輸局がこのセミナーを開いたのは、近年のバス運転手不足は顕著で、路線廃止や減便によって地域住民や観光客の移動手段が不足する事態が生じているため。その解消策として海外から運転手を採用する例が増えているが、ノウハウのないバス会社が自ら運転手候補の人材募集や教育を行うことは難しく、3eeeのような支援機関に委託するケースが多いという。現在、同社には自動車運送業以外にも、建設や観光、食品、飲食、自動車整備など幅広い業種から相談が寄せられている。

 今後は海外人材の紹介・採用支援にとどまらず、現地にオフショアチームを組成し、バックオフィス業務などを外部委託する体制づくりにも着手していく。「海外人材の力を生かすことで、単に企業の人材不足を補うだけでなく、業務そのものを支えるパートナーとして、企業の業務最適化や事業成長にも貢献できるような、新たな価値を提供できるモデルの構築を目指しています」(田中社長)

 さらに、現在はインドネシア・スマラン市で研修センターの設立準備を進めている。運営は現地法人が担い、一定の日本語レベルに達した人材を安定的に輩出・供給する体制を整えていく。

「日本語学校、登録支援機関、介護サービスまでを一気通貫で行う会社は数少ないと思います。私はこれを“垂直統合モデル”と位置づけ、深刻化する労働力不足の解消だけでなく、帰国後の人材還流スキームの確立につなげていきたいと考えています」
 と力を込める。