関 崇博氏/中道リース株式会社 代表取締役社長

【2023年6月号掲載】

関 崇博氏
▲中道リース株式会社 代表取締役社長 関 崇博氏

関 崇博〈せき たかひろ〉

1975年生まれ。北海学園大学経済学部卒。2007年中道機械入社。09年中道リース入社。18年取締役総務部長。常務取締役、専務取締役を経て、22年3月から現職。

健在の安定感保ち中期経営計画スタート 「足場固め最優先」でより筋肉質な組織へ

 創業から半世紀を迎えた2022年、社長に昇格。1年が経過した。コロナ禍や資材・燃料費の高騰など、さまざまな社会的要因によって苦戦する局面もあったが、掲げる〝健全経営・堅実経営〟で組織をリード。安定感は健在だ。

 今年は2025年までの3年間で設定される中期経営計画のスタートの年。「これまで通り。特別変わったことをするつもりはない」というブレないスタンスを基本とする一方、組織を強化させるための動きは迅速だ。
 1月には〝営業三課〟を新設。主として中古車輌を扱う事業だが、「自社だけで運営するよりも、新たな価値を創出できる」として、〝協業〟での事業展開を選択。金融サービスの枠に捉われないさらなる顧客サービスの拡充を図る狙いで、かねてから抱く「新たに地域密着を意識した仕事をやらなければならない」といった想いが形となった部門だ。

 数字という面で中期経営計画を見ると、「足場を固めることが最優先」という観点から「より〝筋肉質〟な組織に再構築するためにも、この3年間は400億円(投資額)を基準にする」と、見通せない金利や物価を鑑み〝無理をしない〟目標を設定。投資から収益ベースへシフトチェンジした。

 その中期経営計画のキックオフとも言える第1クォーター(1月~3月)については「予定通り」と振り返り、「最前線の社員が〝投資から収益〟へのシフトチェンジに上手く、スムーズに対応してくれたおかげ」と要因を分析する。
 既に第2クォーター(4月~6月)がスタートしているが、「ボリュームだけを追う仕事はしない。しっかりと案件を精査していく」といった姿勢で取り組む構えだ。

 唯一〝気がかり〟とするのは、今般の半導体不足の成り行き。同社が得意とする車輌、なかでも新車のトラック不足は極めて大きな打撃になりえるが、「新車と中古車のバランスに変化はあったが、それに伴い価格バランスも変動している。総体的な数字に変わりはない」という。幅広い事業を実直に展開してきたことで培われたノウハウが生かされているわけだ。

 同社オリジナルの不動産賃貸サービスを提供するSS(スペースシステム)事業部については、資材高騰といった逆風こそあるものの、「各地で順調に稼働している」と評価。商業施設を中心とした土地建物の賃貸やテナントの誘致など、〝遊休不動産の有効活用〟を提案し、「地域の賑わい創出に汗をかくことも務め」と、リース業の枠を越えた事業展開でまちを構築中だ。

 23年の残る期間については、「観光バスの稼働率が上昇している」として、中核事業であるバス事業部の復調に期待を寄せる一方、「見通せない金利、物価高に加え、ゼロゼロ融資の返済開始など、さまざまな事案がある」と市場の流れを一層注視する。
「何事にも予兆はある。必ず捉える冷静さを保たなければならない」として残り期間も〝安全〟に走り続ける。