関 崇博氏/中道リース株式会社 代表取締役社長
【2025年6月号掲載】

『健全』『堅実』で〝中期経営計画〟完走目前、ボリューム追わず〝質向上〟に傾注
創立50周年(2022年)という節目の翌年からスタートを切った『中期経営計画』が今年、終章を迎える。
23年、24年は2期連続で過去最高の経常利益を計上し増配を実現。極めて好調なスタートを切ったが、最終年となる今年も全部門が堅調。全体を押し上げている。
残す半年余りも「〝ボリュームだけ〟を追うことはしない。〝質〟を上げることに重きを置く」と、ここ数年取り組む〝質の向上〟に磨きをかけ、冷静に走りきる構えだ。
一方で、「この3年間控えていた投資を、この先は積極的に展開していく必要がある」といった戦略も描く。この2月には「北海道、東北エリアを維持、ケアしつつ、伸びしろの大きいマーケットから徐々にテコを入れ始める」として、東京支店のリニューアルを実施。「より社員同士がコミュニケーションを取りやすい空間が出来あがった。これが何より大きい」と評価する。
来年以降も関東エリアのシェア拡大に傾注する方針だ。
_______________
今年は社員を支える新たな取り組みも稼働させた。
ひとつは『資産管理・法務コンプライアンス部』の開設。これまでの組織、部署の役割をより明確化にすることで、「社員の声を吸い上げやすい環境が構築された」
社員を守る視点だけでなく、より〝過ごしやすい〟〝仕事がしやすい〟職場を追求した格好だ。
また、「今年から全社を挙げて〝推し〟ている」のが、『健康経営』だ。
かねてから「身体が資本。これが根幹」というスタンスで、「休憩時間の確保や、休日の取得を促すのは当たり前。〝社員の健康〟というものにも真剣に取り組まなければならない時代」
同社の代名詞である『健全経営』『堅実経営』に『健康経営』が新たに加わった。
_______________
既に26年から始まる次期『中期経営計画』の策定が進んでいる。
混沌とする国際情勢から「金利は見通せない」とし、「金利上昇による〝資金原価〟の上昇」を懸念材料に挙げるが、「目線を下げることはしない。上げたまま。この状態で投資を行っていく」とし、「細かい目標や方向性よりも、日々移り変わる社会情勢に即座に対応できる俊敏さを備えておくことが肝要」と分析。培われた経営力で乗り切る構えだ。
さらに、「来年からは世の流れを多角的に見つめる」として、〝事業見直し〟の動きを活発化させる。
従来から多種にわたる委員会や研究会が、新規事業などを模索する取り組みを展開しているが、今後は「新事業を創出する仕組みをあらゆる方向から創り上げ、社会にアプローチしていく」という。
今年は社長就任4年目となる。
「あっという間。言われるがまま〝社長職〟をこなしていた」と笑うが、「ようやく全体が見えてきた。この先は〝会社の流れに沿って動く〟だけでなく、社員それぞれの想いを乗せて経営の舵を取る」