出村良平氏/北海道労働金庫理事長

【2023年9月号掲載】

▲北海道労働金庫理事長 出村良平氏

出村良平氏(でむら りょうへい)

北斗市(旧上磯町)生まれ、65歳。函館中部高、北海道大学経済学部卒後、北海道庁入庁。上川支庁(現・総合振興局)で勤務の後、労働組合活動に携わり、道庁退職。自治労全道庁書記長、同委員長を経て、2011年連合北海道事務局長、15年同会長、19年現職。

はたらく人の生涯に寄り添い続ける金融機関を目指す

つなぐプロジェクト総額947万円寄付

 北海道労働金庫(以下、北海道ろうきん)が展開する「つなぐプロジェクト」が順調に推移している。地域に貢献する非営利団体を支援する取り組みで、今年は7月7日付けで道内36団体に総額947万1000円の寄付を実施した。

 北海道ろうきんが推進する「つなぐプロジェクト」とは、取引件数に応じたNPOなどへの寄付を通じて、地域における共生社会の実現をめざす取り組み。

 たとえば、新規の給与振り込み口座指定やクレジット引き落とし口座指定などは利用1件につき100円を、ATMでの引き出しや預け入れなどは1回につき1円を北海道ろうきんが拠出する。
 2022年度は、こうした利用実績に応じた全道各店舗の1推進委員会あたりの寄付額は28万7000円となり、7月7日に36団体に対し総額947万1000円を寄付した。21年度は34団体に対し総額589万8430円の寄付だったことから357万円ほど増えたことになる。

 これについて出村良平理事長はこう語る。
「全道11ヵ所の各店推進委員会総会で、NPO等の寄付先団体を招いた寄付金贈呈式が開催され、その中で、寄付先団体の活動紹介が行われました。各地域での会員・推進機構で『当金庫の取り組み周知や共有』が着実に図られている証左と考えます」

 こうも言う。
「23年度の寄付事業(24年7月寄付予定)は、各店推進委員会で『複数団体への寄付を通じた更なる地域との連携』に取り組んでいただいた結果、22年度より20団体多い、56団体を選定いただきました。地域貢献・連携の拡大につながっています」

 今後も会員・推進機構と連携を強めながら、「つなぐプロジェクト」に一層力を入れていく方針だ。

冊子『ロコペ』発行で金融仲介機能を発揮

 北海道ろうきんでは、全営業店での「つなぐプロジェクト寄付先団体」や「NPO等連携団体」を、各店推進委員会ごとに紹介する冊子『Locope(ロコペ)』を発行している。

「ロコぺ」とは、地域(local)と連携(Cooperation)を意味し、ここでは「会員・利用者とNPO団体等との橋渡し」を表現している。

 その活用方法は、
「『ロコペ』を見ていただくと、全ての推進委員会の『地域との連携状況』を一瞥できます。会員・推進機構の各種会議や集会等で活用いただくとともに、ろうきん利用者や道民に広く周知し、地域でのろうきんの役割発揮に取り組んでいます」(出村理事長)

 今後は『ロコぺ』の発行を通じて、NPO団体等の紹介活動だけではなく、マッチングと金融仲介機能の発揮につなげていく。

共生社会実現へ向け各団体と連携協定結ぶ

 北海道ろうきんは今年、共生社会実現に向けた活動領域に関する「連携の大枠」を定め、着実に進めている。
 その一つが、3月16日に行った北海道NPOサポートセンターとの相互連携協定の締結だ。

 出村理事長によると、
「NPO団体と従業員を支援する取り組みを進めています。まずはNPO団体支援として、8月からは、ろうきん寄付講座『NPO経営者育成講座』を開講しています」
 この講座は全10回で12月まで開講。伴走支援を含め、定員20人を超える30人での講義となっており、参加者はNPO運営者が中心。そのため、夜の時間帯「19時~20時30分」でのリアル開催としている。

「今後は、協定締結による具体連携項目の着実な遂行に向け、連携を深めていきます。また、新たな協定先として行政や協同組合との協議を進めていきます」
 と出村理事長は力を込めて語る。

 北海道ろうきんは6月27日に第40回通常総会を開催。共生社会の実現と健全経営の維持をコアバリューとした中期経営計画(22年~24年度)の中間年度となる「2023年度事業計画」などを確認した。
 これからも、はたらく人の生涯に寄り添い続ける金融機関を目指していく。