株式会社ニトリホールディングス

【2024年6月号掲載】

●札幌本社
【住所】札幌市北区新琴似7条1丁目2番39号
【住所】 011-330-6200

●東京本部
【住所】東京都北区神谷3丁目6番20号
【住所】 03-6741-1111

【URL】https://www.nitorihd.co.jp/

成長加速する海外事業
大台1000店突破も通過点、2032年国内外4000店目指す

▲1000店舗記念祭イベント

 2023年3月期の連結決算で、36期連続・単独世界一となる上場来33期連続増収増益を達成した家具・インテリア業界最大手のニトリホールディングス。

 コロナ禍の影響や急激な円安に加え、物流コストや原材料価格の高騰など、さまざまなマイナス要素が重なったものの、これまでの積極的な姿勢を崩すことなく、3月末時点での店舗数は大台の1000店を突破した。

似鳥 昭雄会長
▲似鳥 昭雄会長

 とりわけ海外の事業展開が際立っており、これまでも中国や韓国をはじめ、マレーシアやタイ、シンガポールなど、8つの国と地域に進出してきたが、この4月にはフィリピンに初進出。2024年度内にはインドネシアとインドにも進出する予定で、5年以内には国内で50店から100店、海外200店、年間国内外で300店以上の出店を視野に入れる。

 また、物流面でも新システムを導入。運行するトラックの積載量やドライバーの作業時間など、細かな情報を管理しつつ、最適な配送ルートを自動で導き出すというもので、既に全国80の配送センターで運用。運転手の労働時間短縮のみならず、二酸化炭素削減といったSDGsにもつながる取り組みだ。

 海外のEコマース企業と業務提携を図るなど、EC事業も同社の強み。2025年には、自社商品を販売するECサイトに他社商品を出品できるシステムを導入する。

 かねてから文化・観光振興を含めた地域貢献にも尽力。2022年に開設した小樽芸術村4館目となる「西洋美術館」をはじめ、昭和初期に道内屈指のレジャー施設として人気を博した小樽の「オタモイ岬再開発計画」では、展望施設「オタモイテラス」のほか、800㍍のワイヤロープを滑る「ジップライン」の建設が予定されるなど、道が積極的に進める体験型観光“アドベンチャートラベル”を強力にバックアップしている。

 加えて、同社は社会問題でもある人材不足についても早くから対応。待遇の面でも同社は今年、過去最高となる6%の賃上げを実施。ベアは21年連続で、海外の従業員は約20%の賃上げに。従業員の8割を占めるパート・アルバイトの時給も6%引き上げた。

 人材の育成にも傾注しており、先頃には道や札幌市、北大とIT人材を育成するための連携協定を再締結するなど、デジタル技術の重要性が一層高まる未来への投資にも積極的だ。

 さらに、育児や介護などを理由に退職した元社員の再雇用を見据え、求人情報などを発信するアルムナイネットワークを構築し、優秀な人材を確保していく。