株式会社アークス
【2025年6月号掲載】
【住所】札幌市中央区南13条西11丁目2番32号
【TEL】 011‐530‐1000
【URL】http://www.arcs-g.co.jp/
競争激化は成長のチャンス 生産性向上でインフレ突破、再編時代に売上高1兆円へ

同社は〝八ヶ岳連峰経営〟を基軸にした堅実な経営で、北海道、東北、北関東地方で375店舗のスーパーマーケットなどを展開、今年で創立64年目を迎える。
道内流通業界の大きな変革期の中、昨年5月に組織改革を行い、迅速な経営判断を可能にした。
新体制では、横山清氏が代表権のある会長・CEOとしてM&Aに注力、猫宮一久氏が社長・COOに就任し、営業サイドの強化を図り、古川公一氏が副会長・CFOとして資本・財務の強化を担う、アークス3C体制となった。
2025年2月期決算は、物価高や節約志向が日常化する中、客数は前年並みだったが、客単価(前年比+2・5%)の要因などで、売上高は6000億円を突破、過去最高となった。また営業利益・経営利益はともに21年、24年2月期に次ぐ過去3番目に高い水準で着地した。
戦略面では、時代のニーズに対応し、一昨年から最短2時間で商品の受け取りが可能な約9000アイテムを用意した「Amazonネットスーパーアークス」を札幌市・北広島市の一部地域で導入。誰でも気軽に利用できるほか、リニューアルした「アークスアプリ」の情報発信により、より一層の顧客拡大を目指す。
一方、使用済みのペットボトルや食品トレーを㈱エフピコ(本社・東京都)のリサイクル工場で再生させ、再び各店舗で使用する〝店舗発着型〟の水平リサイクル「ストアtoストア」を実施。プラスチックの使用量やCO2の削減などで環境負荷を軽減し、持続可能な事業運営を行っている。
横山会長が掲げた25年の年頭所感は「インフレ続く時 賃金物価の壁を 生産性向上で突破し 好循環実現に全力投球」。
実質賃金は「労働生産性を上げる」ことが根本。持続的な賃上げは、一時的な効率化ではなく、技術的革新・人材育成が基盤という考えに基づき、価格・容量・品揃えのバランスにより、高い来店頻度を実現する「ビッグハウス」の進化系「スーパーアークス」の拡大や物流効率化、人材育成、IT・AI活用などで好循環の実現に向け力を注ぐ。
26年2月期に向け、積極的な店舗改装(24店舗)による売上高の増加や「スーパーアークス化」(5店舗)の推進と競合店対策の徹底、アークスアプリによる販促強化、ネットスーパー事業の拡大のほか、インフレ対応として、商流統一やカテゴリーマネジメントによる総利益率改善、グループ先進企業ノウハウ(ロス管理等)、DX推進などに加え、積極的なM&A投資による事業の規模拡大を図る。
グループの強みと連携を生かし、売上高1兆円に向け「次のスーパーマーケット」の創造を目指していく方針だ。
