株式会社アークス
【2024年6月号掲載】
【住所】札幌市中央区南13条西11丁目2番32号
【TEL】 011‐530‐1000
【URL】http://www.arcs-g.co.jp/
競合は成長の粮。協業で取り組みを進化させ「良い品」を「納得価格」で提供
今年創立63年目となるアークスは、現在、北海道、東北、北関東地方で11社375店舗のスーパーマーケットなどを展開し、国内の食品流通業の中核を担っている。
同社の2024年2月期決算は、売上高5915億円(前期比104・5%)と物価高・節約志向の環境下でも過去最高を更新し、経常利益も184億円(前期比112・1%)と伸長。2021年2月期に次いで2番目に高い水準での着地となった。
昨年12月には「Amazonネットスーパーアークス」がスタート。札幌市・北広島市の一部地域を対象にグループ企業ラルズのビッグハウスエクストラ(札幌市豊平区)を配送拠点として、アークスの実店舗で取り扱う冷蔵・冷凍食品、飲料、酒、CGC商品、日用品など、約9000点の商品を販売している。注文後、最短2時間で商品を受け取ることができるなど、Amazonプライムの会員も気軽に便利にアークスで買い物を楽しめるようになり、一層の顧客拡大が期待される。
24年の年頭所感では、昨年の「価値変容」や物価高に対応し、新価格体系への移行の取り組みをさらに進化させ、「競合は成長の粮 協業の力を高め 良い品を納得の価格で提供し 使命を果たす」と掲げている。
これには「顧客のための競合は成長の根源。グループの力をさらに強化し、価値ある商品・サービスを納得価格で提供することで顧客満足を徹底する」という体制構築への決意が込められている。
さらにアークスにとって今年度は新たなスタートを切る年となる。5月28日開催の株主総会、取締役会を経て、横山社長は代表権のある会長・CEOに就任。後任の社長に猫宮一久氏(COO)、副会長に古川公一氏(CFO)が就き、アークス取締役は3C体制で業界再編に挑んでいく。
「会長になっても小売業からは離れない。我々が生き残っていくために時間がかかっても1兆円構想で取り組みたい」と横山氏は決意を新たにする。
同社は各社の経営戦略やブランドを生かしつつ傘下に収める「八ヶ岳連峰経営」で一大食品スーパーチェーンを築いてきたが、新体制でも売上高1兆円達成に向け、積極的な買収戦略を続ける。
道内のスーパーマーケット業界は、イトーヨーカドーの撤退やイオン北海道による西友の買収など、大きな変革期を迎えているが、新体制のアークスではこれらの動向を警戒しつつ、横山氏がM&Aにも注力し、猫宮社長は営業サイドの強化、古川副会長は資本・財務の強化を図ることで経営判断を加速していく方針だ。