【2021年8月号掲載】

【住所】札幌市中央区北4条西6丁目1-3 北四条ビル 3階
【TEL】 011-210-8088
【URL】http://3eee.co.jp

BCP対策や法改正にも柔軟に対応し全国展開する 3eeeの突破力

コロナ禍における介護事業の在り方

介護事業や障がい福祉事業など、高齢者や障がい者のための事業を全国展開するソーシャルベンチャー企業、は2010年の創業以来、常に進化を続けているが、これも田中紀雄社長の創造力、先見力、突破力によるところが大きい。新型コロナの感染によって各企業が影響を受ける中、先進的な取り組みと確固たる信念によってこの困難な局面に立ち向かっている。

▲田中紀雄社長

3eeeは2010年8月創業。北海道を拠点に、リハビリ特化型デイサービス「カラダラボ」をはじめ、通所介護事業や居宅介護支援事業、障がい児通所支援事業、共同生活援助事業など12業態、全国186拠点(今年7月現在)を展開するまでに拡大、成長した。

事業を通じて、人口減少や担い手不足、少子高齢化、老々介護、8050問題、空き家問題など直面する社会問題に正面から向き合い、「高齢者や障がい者が個人の尊厳を保持しつつ、自分らしい生活を送ることができる社会を実現したい」と田中社長は力を込める。

「遊び心と生きがいの調和」を企業理念に掲げ、昨年3月には本社事務所の移転に合わせ、札幌・東京・福岡と3つのワーキングプレイスを拠点としたABW(アクティビティ ベースド ワーキング)を導入し、働き方の多様性実現を目指して、時間や場所にとらわれない自由なワークスタイルを推進している。このコロナ禍においても、万が一感染した場合の一斉感染を防ぐために、札幌市内や東京など本部機能を4ヶ所に分散したスプリットオペレーションを実践し、従業員は各勤務地で日々の業務にあたる。

「コロナによる感染リスクは避けられないものではあるが、高齢者の健康維持や家族の負担軽減などデイサービスが担う役割は大きい。営業を継続するために感染対策と適切な対応を常に徹底している」と田中社長。

こうした企業努力により実績を積み重ね、同社に対する対外的な信頼感は厚い。その一つの表れが、通所介護事業所における「事業所評価加算」適合事業所数が道内で、グループとして8年連続No.1となっていることだ。

「事業所評価加算」とは、予防介護の通所介護・通所リハ・訪問リハ事業所を対象に、事業所の利用者の要支援状態が一定以上維持・改善した場合に評価・算定される。21年度、3eeeグループは45事業所が認定された。

「この結果はグループ全体で標準化されたノウハウによって安定したサービス品質が担保されることで、在宅における要介護高齢者のQOL向上、ひいては社会保障費の抑制につながると考えています。今後とも、利用者さま一人ひとりが持つ本来の夢や目標にどれだけ寄り添えるかを追求していきたい」と田中社長は言う。

法改正に対応した先駆的な取り組み

▲キャンピングオフィスを導入した

21年度の介護報酬改定によって各事業所が対応に追われる中、介護業界内での先駆的な取り組みも光る3eee。介護現場の生産性向上のためベストリハ(本社・東京都)と提携し通所介護計画書作成支援システムを導入。計画書作成にかかる時間を9割削減し、報酬改定による新たな加算の算定業務の簡易化も実現した。「介護事業は保険制度で報酬が支払われる制度ビジネスなので、度重なる法改正等による複雑化にも対応しなければならない。その上で、弊社は早くから介護のICT化を推進しており、今回のシステム導入も業務効率化という点において費用対効果が高いと考えている」

また、今年3月には、事業継続力強化計画が経済産業省に認定されたことも社会的な信用力を高めている。昨今、大規模な自然災害が全国各地で頻発する中、企業のBCP(事業継続計画)対策が注目を集めるようになっている。一般的にBCPは緊急時に事業活動レベルの落ち込みをいかに小さくするかが求められ、21年度からはすべての介護事業者の努力義務となった。改定以前から重点項目としてBCP対策に取り組んできた3eeeでは「自社の災害リスクを認識し、従業員およびサービス利用者の人命尊重を最優先、また事業責任を果たすため対策を講じる」としている。

また、18年に起きた北海道胆振東部地震による大規模なブラックアウトが発生した際、自宅のガレージを災害対策本部にした経験を通して、キャンプ用品がBCP対策として有効だと認識した田中社長。札幌本社の移転時にアウトドアブランドのスノーピークビジネスソリューションズと業務提携し、キャンピングオフィスの導入によって遊びゴコロある働き方を推進しながら、防災・減災の対策に努める。

JICAの採択でグローバル展開 に弾み

一方で、グローバルな展開も進めており、昨年10月にはJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」で、同社が提案した「FC方式による通所型介護サービス導入に係る案件化調査」が採択された。コロナ禍で渡航できないものの、市場動向を把握し、調査は着実に進行中。「新たな海外からの問い合わせも増えている」と田中社長は語る。