丹波 孝司氏/株式会社将軍ジャパン 取締役社長
【2024年6月号掲載】
将軍ジャパングループが間もなく創業30年へ
旗艦店「ダンディズム」から全国にコンセプトを発信
江別市に本社を置く将軍ジャパンは、現会長でCEO最高経営責任者の杉本好法氏が1996年に創業した。四半世紀を超す歴史において、理美容や飲食など6つの主力事業を営み、フランチャイズ事業ではヘアカット専門店「クイックカットBB」を中心に全国展開を図っている。
将軍ジャパンの原点である理美容事業で、現在「フラッグショップ(旗艦店)」と位置付けているのがメンズサロン「ダンディズム」だ。手頃な価格で上質な技術を提供するスタイリッシュな店で、最近は特に狸小路本店(狸小路3丁目)が活気づいている。
「周辺にココノススキノやモユクサッポロなど大規模再開発ビルがオープンしたこともあり、従前に増してさまざまな層のお客様が来店されるようになりました。海外の方もいらっしゃいます。この店からは当社のブランドイメージ、コンセプトを発信し、それにふさわしい店づくり、サービスの提供を心掛けています」と丹波孝司社長は語る。
今回、取材に訪れた4月のある日の開店1時間前。ベテラン技術者による若手スタッフへの指導、教育が行われていた。ほぼ毎日みられる光景だ。
昨今、多くの業界で慢性的な人手不足による対応を余儀なくされている。理美容業界もまた然りだが、こうした中で「将軍ジャパンで技術と経営を学びたい」と入社するスタッフは少なくない。積み重ねてきた実績が理美容系専門学校の先生の評価を高め、テレビCM、北海道新聞への全面広告掲載などで業界のイメージアップに貢献していることが理由として考えられる。
「ダンディズム」は札幌市内に5店舗を展開中。最近では4月3日に「ダンディズムクラシック琴似店」がオープンした。
最大級FCショーでトップセールス展開
一方、南は九州まで全国に店舗網を広げているのが、ヘアカット専門店「クイックカットBB」だ。直近の例として4月26日に新規オープンした「ガーデンズ千早東店」は福岡県福岡市にある。
全国展開の原動力となっているのはフランチャイズ事業。オーナーは現在45社を超え、こうした会社や事業者は「新規事業として」、「多業種展開や副業として」などを目的とし、一度オーナーになると複数店を持つ傾向が顕著に見られる。本部のサポート体制が充実していることの裏付けでもある。
出店場所も、複合商業施設や大型スーパーのテナントとして入ることが多く、これもまた大家である商業施設側との信頼関係がしっかり構築されているからこそだ。
今年3月に東京ビッグサイトで開かれた「フランチャイズショー2024」に同社も数年ぶりに出展した。今回は全国213社のフランチャイズ本部・代理店などが集結し、3日間で約2万7500人の来場者があった。
この全国最大規模の展示会に丹波氏のほか、将軍ジャパンホールディングス窪田専務、将軍ジャパン東本専務らが会場入りした。トップセールスで接客にあたったのは、業容拡大のみならず、来場する現フランチャイズオーナーとのコミュニケーションを図る狙いもある。ビジネス社会で互いに信頼し合える関係を強固にする姿勢がうかがえる。
賃貸中心の不動産事業、経営の大きな柱に
将軍ジャパンホールディングスが手掛ける不動産事業は、グループ全体の経営の大きな柱となるまで拡大、成長した。
とりわけ目を引くのが、本社のある江別市萌えぎ野地区を中心に展開する低層アパート。「SJPザ・クラス」ブランドのシリーズを中心に賃貸事業を展開中で、現在は17棟121世帯の住居物件を有している。
入退去が活発な時期を除き「ほぼ100%」の入居率を維持。全室LED照明、RV用対応車庫など諸設備が整っているのが大きな要因だ。加えて、間取り等が「家を建てる前の夫婦や、小さな子どを持つ夫婦」らのファミリー向けニーズに合致しており、退出者が出てもすぐに入居者がいる状態が続いている。
このように将軍ジャパングループは、一軒の理髪店から始まり、創業30年に満たずして業容を大きく広げてきた。CEOである杉本氏の「まず、人でありたい」という理念と「常にお客様目線でものを考え、行動する」という規範を全社で共有できていることが何よりも大きい。