大谷地 裕明氏/医療法人社団 山田眼科 理事長・院長

【2021年9月号掲載】

大谷地裕明理事長

〈おおやち ひろあき〉1960年12月17日生まれ、子年。61歳。86年東海大医学部卒。同年札幌医大眼科入局。93年札幌医大眼科学講座医局長、95年旭川厚生病院眼科主任医長を経て、2002年山田眼科副院長、07年院長、08年11月理事長に就任。日本眼科学会眼科専門医、PDT認定医。医学博士。

白内障検査機器を「OPD‐Scan®Ⅲ」に更新 地域の眼科医療に貢献したい

旭川市内にある山田眼科は、年間およそ1500件の白内障手術を行い、クリニックでは道北随一の手術実績を誇る。そのほかにも緑内障や加齢黄斑変性症のような網膜疾患、眼瞼下垂などを扱う。最新の検査機器の導入にも力を入れ、「VERION」や「Mirante」に続き、今年7月には白内障の検査機器を角膜形状/屈折力解析装置「OPD―Scan®Ⅲ」に更新した。その大谷地裕明理事長に、最新治療で地域医療に取り組む思いを語ってもらった。

白内障手術で道北随一の実績

▲白内障の手術

――眼科診療で近年増加している病気はどのようなものがありますか。
当院は白内障、緑内障、網膜硝子体、眼瞼下垂など、さまざまな手術を行っています。なかでも多いのが白内障の手術で、昨年は1580件と、クリニックとしては道北随一の実績を誇っています。
白内障は、カメラのレンズの役割を担う水晶体がタンパク質の変性によって混濁する病気で、症状としては物がかすんで見えたり、ぼやけて見えたりします。主に加齢などによって発症する例が多いようです。60歳を過ぎたあたりから多くみられるようになり、年齢を重ねるにつれ、発症する割合はどんどん高くなっていきます。

――白内障の治療法は。
一般的に早期であれば進行予防のために点眼治療を行いますが、それでも混濁は進んでいきます。そこで、日常生活が不自由になれば手術療法を行います。この手術では、濁った水晶体を取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入します。簡単に言えば、カメラのレンズを取り替える手術です。
眼内レンズの種類の中には保険適用の単焦点眼内レンズがありますが、当院では選定療養で中・近が見える多焦点眼内レンズも扱い、治療の選択肢を広げています。

また経験豊富な医師とスタッフによる熟練した技術によって、わずか2・2~2・4㍉ほどの切開幅で済みます。さらにバージョンアップした「極小切開白内障手術」装置の使用で、眼への負担を最小限に抑えるなど、最先端の医療に取り組んでいます。
これにより、手術も短時間で済み、早期の視力回復が見込まれることから、その日のうちに家に帰ることができるのです。
当院は入院設備もありますので、患者さんの希望があれば短期入院をすることも可能です。遠方から訪れた患者さんでも安心して手術が受けられるため、万全で安全なケアだと自負しています。

眼内レンズ選択やオルケソラトロジーに威力発揮

▲最新検査機器
「OPD-Scan®Ⅲ」

――最新の機器も充実していますね。
はい。白内障の手術では、より早く、かつ合併症などのリスクが少ない手術が行える「超音波白内障手術装置」を用い、眼瞼下垂や眼瞼皮膚弛緩症では「炭酸ガスレーザー手術装置」など、いま世界で注目されている方法を積極的に取り入れています。

また「VERIONイメージガイドシステム」を導入しました。
「VERION」は、術前に測定したデータに基づき最適な手術計画を練ることから、その計画に基づいたガイドを的確に表示してくれます。
これにより、眼内レンズ挿入中の度数ズレが非常に少なくなったことで、手術の精度が飛躍的に向上しました。
続いて最新鋭の検査機器「Mirante」を19年10月に導入しました。糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症、緑内障、網膜静脈分枝閉塞症、網膜色素変性症などの網膜疾患でオールインワンでの検査が可能です。1回の検査で済むため、患者さんが検査の度に移動する必要がなくなりましたし、OCTアンギオという造影剤を使わないで網膜の血流や血管の状態を無侵襲に検査できるのが最大のメリットです。また検査時間も大幅に短縮できました。

――今回更新した「OPD―Scan®Ⅲ」とは。
今年7月に白内障の検査機器を角膜形状/屈折力解析装置「OPD─Scan®Ⅲ」に更新しました。
主に角膜形状と眼の屈折度を測定する装置で、カラーマップや徹照画像、多角的な〝見え方シミュレーション〟などで眼の状態を視覚的にわかりやすく確認できます。術前に視力が得られにくい原因が追究でき、白内障の患者さんで眼に適した眼内レンズの選択にも役立ちます。

またオルソケラトロジー治療で患者さんに合ったコンタクトレンズを選ぶことにも威力を発揮します。オルケソラトロジーというのは、手術が要らない視力矯正治療法で、就寝中に裸眼視力を矯正するコンタクトレンズを装着し、翌朝レンズをはずしても角膜の形状が矯正された状態を維持することで裸眼で過ごせる治療法です。

また〝見え方シミュレーション〟は、患者さんへのインフォームド・コンセントにも役立っています。
これからも道北・旭川の地域のために、眼科の最新治療で貢献していきたいです。

 

医療法人社団 山田眼科
【住所】旭川市豊岡4条3丁目3-17
【TEL】 0166-31-6222
【URL】http://yamadaganka.jp/