社会医療法人北斗 十勝リハビリテーションセンター

【2022年10月号掲載】

【住所】帯広市稲田町基線2番地1
【TEL】(0155)47‐5700
【URL】https://www.hokuto7.or.jp/hospital/rehacenter/top/

ロボットと電気刺激、AIによる予後予測、最新で良質なリハビリを実践

白坂智英院長
▲白坂智英院長

 道内最大の回復期リハビリ病床(199床)を有し、脳卒中などの急性期治療を終えた患者に対し、患者が本来あるべき姿に戻れるためのリハビリを行っている。
 大規模なリハビリ室(1264平方㍍)を備え、スタッフも146人と、全道でトップクラス。
 同センターでは、患者の状況に適した「良質」かつ「最新」のリハビリに注力。それを実現するのが「ロボット」と「電気刺激装置」など、高機能な機器によるリハビリだ。

 上肢治療目的の機器(上肢、手指)は「ReoGo®-J」など9台に加え、下肢治療目的の機器は、10月に歩行ロボット「welwalk ww-2000」(トヨタ製)導入も含め11台。すべての部位にこれだけの数のロボットが活用されるのは道内では珍しい。この歩行ロボットを使用することで重度麻痺の患者さんでも歩行訓練が可能であり、歩けるようになるまでの期間が従来より短縮される。

歩行ロボット
▲歩行ロボット

 これらのロボットはリハビリ室のみならず病棟にも導入され、患者がリハビリ時間以外も有効に自主訓練が行える環境を整えている。ロボットは障害の回復に応じて負荷の程度を微妙に調整することも可能なため上肢から下肢までの全てのロボットを取りそろえることで各患者さんにその人に適したオーダーメイドのリハビリが提供できる。

電気刺激装置
▲電気刺激装置

 またロボットのみならず電気刺激装置も積極的に活用している。たとえば食事の際の嚥下は誤嚥性肺炎などのリスクが伴う。しかし患者さんに食べる喜びを取り戻させるのもリハビリの大きな柱の一つである。同センターでは嚥下訓練にも最新の電気刺激装置である「VitalStimPlus」を用いて筋肉(舌骨上筋群)に電気刺激を加えることで、有効な摂食嚥下訓練を行っている。また上肢と下肢の電気刺激装置も揃えており、これらを組み合わせて使用することにより患者さんの機能回復を最大限に引き出すことが可能である。

 ところで患者やその家族が最も知りたいのが「将来どれくらい回復できるか」の「予後予測」である。
 同センターは、今年7月にソニー製の「Prediction One」を導入し、人工知能(AI)による予後予測のモデルの構築に取り組んでいる。過去10年間にわたり蓄積された膨大な患者データを入力。AIによる予後予測が実現されれば、患者の入院期間、歩行やトイレ、運転の可否などがあらかじめシミュレートできる。
「予後予測の正確なモデルができれば、実際のリハビリで患者さんにとって最適なリハビリプログラムを組むことができ、また患者さんや家族も予後を知ることで早めの準備をすることができます」(白坂院長)

 患者さんが住み慣れた自宅・地域に戻れるよう充実したリハビリを実践。「リハビリ室で『できる行為』と病棟や自宅で『している行為』をできるだけ近づけるのが大切で、セラピストはもちろん、看護師や介護職、栄養士、薬剤師などがチームを組んでトータルなリハビリに取り組んでいます。患者さんの状況に即した個別化医療で良質で最新のリハビリを提供しています」と白坂院長は話す。

白坂 智英院長(しらさか ともひで)

旭川医科大学卒。柏葉脳神経外科病院リハビリテーション科を経て、2022年4月から十勝リハビリテーションセンター(院長)に勤務。日本脳神経外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本医師会認定産業医。