一般財団法人 北海道農業近代化技術研究センター

【2022年5月号掲載】

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【URL】http://www.hamc.or.jp/

今こそ古き良き日本の〝もったいない〟精神で
SDGs目標「飢餓をゼロ」の実現を

細越良一理事長
▲細越良一理事長

SDGs(エスディージーズ)の取り組みが活発だ。これは、2015年に国連で開催された『持続可能な開発サミット』で提案された全17からなる取り組みだが、本稿ではその中のひとつ〝飢餓をゼロ〟に対する同センター細越良一相談役の提言を紹介する。

「少し足りない」が「ちょうど良い」の思想を

今、地球上の10人に1人は〝その日食べるものがない不安な毎日を送っている〟とされているが、その一方で食べ物があふれている国・個人が存在することも事実だ。

日本に目を向けると、1年間に廃棄される食品の量、いわゆる食品ロスは約612万トン。世界全体で活用される食料支援の量が420万トンであることから、日本だけで実にこの1・5倍にあたる量を廃棄していることになる。

なぜこのように膨大な食品ロスが発生してしまうのか──。その原因のひとつは〝過度な利便性の追求〟だと考える。スーパーやコンビニなどには、常に食品が満たされており、この光景が当然と感じてしまっていることが、知らず知らずのうちに食品ロスを発生させているのだ。コンビニも24時間営業を当たり前にするのではなく、〝深夜でも交通量が多い国道沿線などに限定〟する。こうしたことも食品ロスの削減はじめ、省エネや人手不足の解消にもつながるだろう。

加えて、限りある食物資源を廃棄することは、間接的ではあるものの、生活困窮者から食べ物を奪っていることにつながる。今こそ古き良き日本の『もったいない精神』に立ち戻り、無駄のない生活に変えるべきだ。

直近では、牛乳廃棄のニュースもあった。確かに新型コロナの感染拡大により、牛乳や乳製品の需要が減少したことは事実。ただ、濃厚飼料を輸入に頼ったまま増産を続けることが持続的な酪農と言えるのか──。また、年間約4700トンもの牛乳が量販店などで廃棄されていることも見逃すことはできない。「少し足りない」ぐらいが「ちょうど良い」と思える発想の変換が求められている。

現在、様々な問題が世界中で勃発しているが、〝飢餓の問題〟についても、もっと身近に、地球規模の問題として捉えることが肝要だ。

また、食品ロスと関わりの深い「消費期限」と「賞味期限」についても触れておきたい。

「『消費期限』は安全に食べられる期限」で、弁当やケーキなど傷みやすい食品に表示されており、この期限を過ぎたものの販売は許されていない。一方、「賞味期限」は比較的傷みにくい、カップ麺や缶詰などに表示されており、保存方法をしっかりと管理した場合、「品質は変わらず美味しく食べられる期限」とされている。

従って、「期限切れ=食用不可」ではなく、期限を過ぎたものでも食用可能なものが少なからずあるわけだ。「消費期限」を過ぎた食品の廃棄は当然ではあるものの、賞味期限を過ぎても、品質劣化が一定基準以下のものは、食用を可とする「食用可能期限」のような表示が今求められている。実現すれば、食品ロスを減らすきっかけになるだろう。検討の余地はあるはずだ。