一般財団法人 北海道農業近代化技術研究センター
【2026年5月号掲載】
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【現代社会に提言】「失われた30年」は古き良き〝日本の心〟をも忘れさせたのか
〝人〟だけではない高齢化

先日、札幌市西区で爆発事故が発生し、5名の死傷者を出した。発生元の住居は跡形もなく吹き飛び、周辺の85戸にも被害が及んだ。厳寒の2月に、ビニールシートで窓を覆って生活することがいかに過酷かは想像に難くない。原因者が責任を負うのは当然としても、被災者の生活再建に向けては、行政による支援も必要ではないか。
私は今回の事故について、2点の疑問を抱いている。
1つは、記者会見までに時間を要し過ぎている点だ。事故後の調査で爆発箇所のガス管に穴が確認されていたのであれば、もっと早く公表できたのではないか。なぜ8日間もの時間を要したのか、しっかりとした説明が求められる。
もう1つは、情報の整合性である。爆発エリア以外は配管検査の結果、「異常はなかったため、ガス供給が再開された」と報じられた一方、会見では「別の2ヵ所にも穴が確認された」という。これらの説明に矛盾はないのか。
さらに会見では、過去の検査で腐食箇所が確認されていたものの、緊急性は低いと判断し補修を見送っていたことも明らかにされた。爆発原因の詳細はなお調査中ではあるが、ガスの危険性を最も熟知しているはずの事業者が、このような判断をしていたことには驚きを禁じ得ない。
類似の事例として、関東圏のJRで発生した架線事故がある。JR東日本の記者会見では、運行停止の原因は架線の摩耗であり、本来交換が必要とされる基準値の半分程度までになっていたと説明された。事前の検査で把握されていたにもかかわらず、交換されないまま運行が続けられていた点は、札幌の事故と同様、安全に対する認識に甘さがあったと言わざるを得ない。
いつから日本は安全に対し、このようなずさんな国になってしまったのか──。「失われた30年」というフレーズをよく耳にするが、バブル経済崩壊後、国際的な競争力を失うとともに、「ものを大切にする」という古き良き「日本の心」をもどこかに置き忘れたことが、〝コストカット至上主義の国〟を作り出してしまったのではないか。
埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損による陥没事故は、発生から1年を経てもなお復旧に時間を要するとのことであり、地域住民の生活に深刻な影響を及ぼしている。こうした事故は、もはや日本のどこで起きても不思議ではないのである。
高度経済成長期に整備された生活インフラは、既に半世紀近くが経過し、目に見えないところで確実に老朽化が進んでいる。高齢化は人間だけの問題ではなく、社会全体にも当てはまることを自覚し、インフラの維持・更新に対する優先順位を早急に明らかにする必要があるのではないだろうか。

