一般財団法人 北海道農業近代化技術研究センター
【2026年3月号掲載】
【住所】深川市広里町4丁目1‐3
【TEL】 0164-25-1591
【URL】http://www.hamc.or.jp/
【細越 良一氏が緊急提言】忘れてはいけない「日本が抱える巨額財政赤字」

「責任ある積極財政」をキャッチフレーズに高市内閣は具体的な施策を進めようとしているが、「積極財政」の前に「責任ある」と前置きするのは、日本が抱える膨大な財政赤字があるからに他ならない。
このような厳しい財政状況においても〝新たな分野での投資なしに日本の発展はない〟という強い決意については、一定の評価をするものであるが、何故日本はこのような莫大な財政赤字を背負うこととなったのか。このことを置き去りにして、新たな歩みを生み出すことは難しいように思う。
財政赤字は何故拡大したのか、平成22年にNHKで放映された「日本の巨額財政赤字を問う」を参考に振り返ってみたい。
この時点での日本の財政赤字は約862兆円。国民一人当たりの負債は約700万円とのことであった。
ご承知のとおり、赤字国債の発行は法律では認められていないため、発行にはその都度立法化が必要である。赤字国債が初めて発行されたのは、昭和40年、発行額は約2000億円であった。当時の大蔵事務次官は、「赤字国債は麻薬と同じ、厳に戒めなければならない」と発言していたが、皮肉にもまさにそのとおりになってしまった。
その後総理となった田中角栄氏は列島改造計画をぶち上げるとともに、必要な財源は経済成長により補うとの考えのもと、「老人医療費の無償化」と「年金の物価スライド導入」など、福祉政策を矢継ぎ早に拡充した。
しかしながら、昭和48年のオイルショックにより我が国は未曽有の不況に見舞われ、公共事業については予算を大幅に縮小したものの、福祉予算の増加には歯止めをかけられず、財政赤字は拡大の一途を辿る。
こうした中で、昭和51年に開催されたボンサミットでは、世界各国から日本に大幅な経済成長が求められ、結果として赤字国債の発行額は10兆円を超えることとなる。その後も福祉予算は増加し続け、ついには予算の4割までもが赤字国債に依存することとなった。
昭和60年代に入ってからは景気回復と消費税導入により、赤字国債の発行は一時的に減少するが、平成6年のアメリカからの貿易赤字削減の働きかけを受け、大幅な減税を実施したことで、赤字国債は再び増大する。これを打破するため、当時の総理橋本龍太郎氏は歴代総理をメンバーとする「財政構造改革会議」を設置。赤字国債からの脱却を図ろうとするが、山一證券の破綻など金融不安の拡大により、消費税の5%アップは実現したものの、財政再建は遠のいてしまった。その後、連立政権の時代となるが、各党の思惑もあって財政赤字はさらに拡大を続ける。以上が財政赤字拡大のあらましである。
ちなみに令和7年末の財政赤字は1129兆円に達している。平成22年からの15年間で増加した赤字額は実に267兆円。赤字額としてはアメリカに次ぐ2番目の規模であるが、GDP比では2倍強と断トツのワーストワンである。
これ以上財政赤字を増やさないために、今こそ「中負担、高福祉」から「中負担、中福祉」へと、大胆に舵を切るべき時ではないだろうか。


