一般財団法人 北海道農業近代化技術研究センター
【2024年5月号掲載】
【住所】深川市広里町4丁目1‐3
【TEL】 0164-25-1591
【URL】http://www.hamc.or.jp/
コミュニティの再構築に新たな仕組みづくり
人口減少によってまちの存続が危ぶまれている。とりわけ本道はこうしたまちが点在しているが、同センターの細越良一相談役は、コミュニティの再構築に向けて「インフラを支える新たな仕組みづくり」が必要という。
新たな仕組みづくり検討の時期
『吹雪ふきすさぶ暗闇の中に灯る一つの明かり。ここは北海道北部に位置する人口1000人ほどの初山別村』──。
これはNHKの人気番組『ドキュメント72時間・冬の北海道 村のコンビニで』のプロローグである。
初山別村には以前、一軒の商店が存在したが、その商店が閉店してからは生活必需品の購入もままならず、全村民が買い物難民に。村がコンビニの誘致活動を行って、設置にこぎつけたというもの。一見、何の変哲もないコンビニだが、村人にとっては〝命をつなぐ大切な場所〟で〝オアシス〟というわけだ。
人口規模からみても、採算が厳しいことは想像に難くないが、そのような状況でも出店に協力したのが、北海道で生まれ育った地元のコンビニである。放送では、毎日のように訪れるという漁師や村に移住した若者など、さまざまな人たちの交流の場としても紹介されていた。
以前、この誌面でも取り上げたが、2018年のブラックアウトの際、自動車の電源などを利用し、いち早く営業開始にこぎつけ、地域住民の喝采を浴びたのもこのコンビニだ。そこで生活する人のために協力する姿勢は、まさに〝地元企業だからこそ〟と言える。
また、これも同番組のことだが、『札幌 雪道を走る灯油配達車』についても触れておきたい。
冬の北海道にとって、生活に欠かすことができない灯油の配達員の話であるが、集合住宅の最上階へ給油するため、太いホースを何重にも身体に巻き付け、階段を駆け上がっていく姿には仕事を越えた「使命感」のようなものさえ感じた。
冬の運転は、吹雪や積雪による悪路など、極めて厳しい条件であるが、こうした状況下でも、必死に灯油を届けようとする配達員の姿に感動を覚えたのは私だけではないだろう。
灯油と同様、プロパンガスも北海道の生活には不可欠で、たくさんのボンベを積み込み、配送するトラックを頻繁に見かけるが、この仕事を担う人の多くは年配の方々である。重労働で危険を伴うこのような仕事を、今後若い人が引き継いでくれるのだろうか。
もうひとつ、『給油所がなくなる町』というドキュメント番組があった。これは貯蔵タンクの基準が変更され、その改修に多額な費用がかかることから、閉店を余儀なくされたとの内容。このまちでは、最終的に地域で資金を捻出し、新たな給油所を設置したわけだが、こうしたケースは今後北海道でも起こりうることだ。
それぞれの地域に住み続けるためには、過疎地域で果たすコンビニの役割や、灯油・プロパンガスの配送など、そこにあるインフラをしっかりと見つめ、評価し、それらを支える新しい仕組みづくりを検討しなければならない時期にきているのではないか。