【2021年12月号掲載】

社員の成長なくして企業の成長なし
新・プロジェクト始動で意識・組織改革

株式会社くきつ

コロナウイルスの感染縮小に伴い、さまざまな経済活動が再開しつつある。とはいえ、疲弊した本道経済界の復調には相応の時間を要すると言えそうだが、燃料販売業・不動産管理を軸に発展する㈱くきつは、入居募集に特化したプロジェクトが功を奏し、組織の強化が図られているようだ。その実態はどうか。社長、中堅、新人の座談会を収録することで現場の空気をお届けしたい――。(取材日・10月27日)

発信は常に全社員に

――早速プロジェクトの概要を伺いたいところですが、プロジェクトの発足前に山仲社長自らが起こした行動が気になります。まずはその内容と意図から。
山仲 これまで社長室で行っていた業務の大半を、4月からは社員と同じフロアで行うことにしました。コロナショックによる退去の増加、さまざまな社会的制約の拡大などなど、私はもともと危機感の強い方ですが、これらにより一層強くなった。この危機を打破、対処するためには業務効率を格段に上げる必要があったためです。
小野 私は社長との距離を〝遠い〟と感じたことはありませんが、同じフロアに社長がいることで、一層近い存在として感じられるようになりました。特に社長の言葉、発言は常に耳に入ってきますので、たとえそれが私に向けた言葉ではなかったとしても、その都度、自分のことに置き換えて考えられるようになった。今では成長を早めることができたと実感しています。
山仲「私に言っていることではない」と思えば、確かにその通り。ただ、私は常に社員全員に発信しているんです。〝自分事〟として、自分の部署に置き換えて受け止め、行動してきた社員は今順調に業務を進めていると感じています。

あえて〝守備範囲〟を狭く

▲管理事業部業務課長
小野 哲哉
1986年生まれ。入社11年目。


▲管理事業部管理課
プロジェクトリーダー
草森 ほのか
1996年生まれ。入社1年目。

――それでは7月から立ち上げたプロジェクトについて、リーダーである草森さんに概要を。
草森 プロジェクトの目標は入居率アップで、これが最重要課題です。プロジェクトメンバーはこの最重要課題クリアに向け、一丸となって多角的な取り組みを行っています。
ひとつ例を挙げると、これまで外勤担当者は物件のチェックを行う業務が主で、内勤担当者は字の如く社内業務を担う業務が大半でした。ただ、これでは業務に偏りができてしまっていた。プロジェクトでは外勤者と内勤者をペアにし、物件ごとに担当を振り分けています。あえて〝守備範囲〟を狭くすることで、より集中して物件を観察することが可能になるわけです。
山仲 加えれば、物件というものは必ず老朽化します。我々はそうした物件に差別化を図り、付加価値をつけて新築と対抗しなければならない。部屋のデザインクロスひとつとってもそう。20~30代の女性を客層とする物件の壁紙を、男性社員が選んでも成約の可能性は低い。ましてや私が選ぶなんて時間の無駄でしょう(笑)。
こうした細かい〝気付き〟〝改善〟を重ねなければ入居率に大きく影響してしまう。今後もプロジェクトではこうした部分に力を入れていかなければなりません。

――ところで、リーダーの草森さんは入社1年目と伺いました。
草森 そうですね。実際にはまだ1年経過していない〝新人〟です(笑)。正直に申し上げれば、「私でいいのか…」と思ったのは事実です。
ですが、入社時に社長の想いを伺った際、共感することが多くあったことをその時思い出しました。特にお客様に対する想い、考えには強く共感できたので、そういった〝お客様の目線〟で物事を考えるという部分では新人とは思わず、挑戦しようと思いました。
山仲 経験が大切なのはいうまでもありませんが、前向きさ、積極的さ、ひたむきさ──、こういったものはリーダーには極めて重要です。当然草森リーダーの部署は先輩ばかりで、意思が伝わりにくい部分もありますから、そういった部分は逐一私が修正しています。
それに結果から言えば、コロナ禍以前の19年より入居率は格段にアップしている。年齢、性別、社歴というものは関係ないんです。小野課長をはじめ、社員皆も納得していると思いますよ。
小野 そうですね。多少の驚きはありましたが、これまでの仕事ぶりを見ると、やってくれると思いました。なにより社長が〝見込んで〟いるわけですから。

――これまでの仕事ぶりというと。
小野 今まで弊社の募集活動というのは、誌面やサイトがメインでしたが、今は管理業者と仲介業者を繋ぐ『リアプロ』という検索システムを活用しています。実はこのシステムは以前から導入していたものでしたが、社長が我々と同じフロアに来られた頃に、このツールのブラッシュアップを提案された。この作業に一番積極的に関わったのが草森リーダーというわけです。

――物件の家賃設定もされているとか。
草森 そうですね。物件全体の収支を考えることはオーナー様の収支につながりますので、その物件の過去の家賃状況や周辺物件の家賃状況などを十分に精査し、設定します。
山仲 最終承認は私が行いますが、最近では完璧な状態で提案書がきますので、確実に成長していると実感しています。

意識の高さが悔しさ助長

▲代表取締役社長
山仲 啓雅

――プロジェクト発足後、社内でさまざまな変化があったようですね。
小野 まさにそうですね。私は業務課に籍を置いていますので、今回のプロジェクトには積極的に参画していませんが、ひとつの仕事に対するサイクルを見直す機会を与えてくれました。
この仕事は今やるのか、もっと前にやらなければならなかったのか、あるいはベストのタイミングはどこにあるのか。こうしたことを学び直すことで、業務の迅速化、ひいては入居者様、オーナー様へのサービス拡充につながったと感じています。
草森 私は競争意識が強くなりました。先日も隣り合わせの部署がある業務について評価されているのを見た時、自然と悔しさがこみ上げてきました。「次は自分たちの部署が評価されたい」と思いました。
山仲 これは凄いことですね。嬉しく思いますよ。悔しがるということは、それだけモチベーションを高く持っている証拠。目指しているところが高い証拠です。逆に悔しさを感じなければ、自身の成長を意識していないんでしょう。私はかねてからこういった社員に対しては厳しく指導していますが、成長を目指す社員は言動、行動に現れる。このふたりがまさにそうです。

――おふたりはこの先についてどんな想いを。
小野 このまま成長し続けたいですね。経験や知識、プライドなどを排除して、素直に目の前の仕事に向き合っていきたいです。
草森 課として一致していなかった方向性が、プロジェクトを通して今は一致しつつあります。一つひとつ課題をクリアし、思い描く力強いリーダーという将来像に近づきたいです。
山仲 社員の成長なくして企業の成長はあり得ません。ただの指示と、成長を意識した指示とでは全く意味が異なりますが、私は意味のない指示をすることはない。社員はこうした指示、つまりチャンスを活かしてほしいですね。社員全員の意識改革を引き続き行い、一層強い組織、企業で〝入居者様ファースト〟を貫きたい。