向仁会グループ

【2024年1月号掲載】

【住所】法人本部/函館市桔梗1丁目14-1
【TEL】 0138-46-0310
【FAX】0138-46-0320
【URL】https://kojinkai1968.com

「ポートフォリオ」をキーワードに複合型事業運営をブラッシュアップ

▲本部を置く「喜郷」「喜郷Ⅱ」

 医療法人社団向仁会は、介護医療院や住宅型有料老人ホーム、サ高住、グループホームといった幅広い形態の高齢者福祉施設を運営する。阿部智哉理事長は2024年のキーワードに「ポートフォリオ」を掲げる。

阿部智哉理事長
▲阿部智哉理事長

 2023年4月、日本銀行総裁を退任した黒田東彦氏は会見で「長きにわたるデフレの経験から、賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわゆるノルム(社会的規範)が根強く残っていたことが影響し……」と話した。

 阿部理事長は黒田氏が指摘した「ノルム」に着目。「福祉業界においても日本型ノルムの考え方を捨てなくてはならない」と語る。事業者がサービスの質を落とさないためには固定観念を排除すべき、などという意味だ。

 国内ではすでに、多くの都市で後期高齢者(75歳以上)人口が、前期高齢者(65~74歳)人口を上回っている。この先、その差はさらに広がる。
 総人口に対する後期高齢者人口の比率が高まることで阿部理事長は「リハビリ、認知症、看取りに関わるケアや対応がより求められてくる。看取りはがんに限ったことではない。この3つの分野のサービスをさらに強化していく」と言う。そのため向仁会では作業療法士の資格者増強などに努めている。

▲複数の形態の施設が同じ地域に
集積している(立待岬に近い住吉町)

 向仁会は、函館北部の桔梗でユニット型介護医療院「喜郷」や函館市地域包括支援センターなど、南部の住吉町で住宅型有料老人ホーム「泰」を中核とする高齢者介護・医療・生活支援型総合施設「寛ぎの翔輝 はこだて」を運営する。グループ会社のサポートライフの施設を合わせると函館だけで事業所・施設は15を超える。

 つまり、函館という比較的狭い地域に、特色の異なる事業・施設が複数あり、これこそが法人全体のBCP対策や安全性の確保につながるという。

 その概念が24年のキーワードに掲げる「ポートフォリオ」だ。投資家が保有する金融商品の組み合わせのことで、その「組み合わせ」が大事なのだ。商業界でも単独店が次々と姿を消す一方で、集客力を高めているのは複合型の大型施設である。

「人事面でもポートフォリオ概念は大切。特色の異なる人たちをどの組織にどう配置するのか。私どもはツリー型、ピラミッド型の組織づくりはしていない。横一線でフラットに。だれもがリーダーになることができるが、責任も大きくなる」