公益財団法人 北海道対がん協会

【2024年1月号掲載】

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がん検診受診でがん死「ワースト2位」返上を、「便秘外来」で残便感を解消

 北海道は、がん死亡率がここ数年、全国でワースト2位になっている。コロナ禍の受診控えに加え、道民の検診に対する意識レベルが低く、がん検診の受診率が低いのが原因だ。
 そこで北海道対がん協会の加藤元嗣会長にがん検診の取り組みを取材し、また津田桃子医師が担当する「便秘外来」についても紹介する。

▲加藤元嗣会長

 北海道のがん死亡率は、青森県に次いでワースト2位の体たらくの現状にある。がん検診の受診率が低いのが理由で、子宮がんと乳がんの受診率はワースト1位、肺がんと大腸がんはワースト2位、胃がんはワースト3位の状況だ。

「検診受診者の数はコロナ前に戻っていない。検診で本来なら見つかっているはずのがんが進行している場合があるので、がん検診を受診していただきたい」と加藤会長は言う。

 北海道対がん協会では、従来のがん検診に特定健診を加えた検診を実施し、がんの一次予防に努めている。
 胃がんのX線検診では、ピロリ感染診断を行い、ピロリ感染者を拾い上げて内視鏡検査と除菌治療に誘導している。22年8月には「ピロリ専門外来」(毎週水曜日午後・完全予約制)を開設した。

津田桃子医師
▲津田桃子医師

 一方、大腸ではポリープを高周波の電気メスを使わずに切除する日帰り手術を22年8月から実施している。「良性のポリープは大腸がんの原因になり、ポリープのないクリーンコロンにすることで大腸がんの死亡率は半減する」(加藤会長)

 さらに23年1月に「便秘外来」(毎週金曜日午後・完全予約制)も開設した。便秘治療に長年携わってきた消化器内科専門医の津田桃子医師が担当している。

 ところで便秘の治療で使用される刺激性下剤は、腸管麻痺(腸の運動障害)が起きやすく、服用を続けると耐性ができて薬の使用量が増え、悪循環に陥りやすい。そこで「なるべく刺激性下剤を使わずに新規の便秘薬を使って便秘がこじれないように心がけています」と津田医師。

▲北海道対がん協会

 また不必要な下剤で残便感や排便困難感になっている場合があり、薬を変えてうまく調整することで、患者さんのQOLを高めているという。
「自己判断で市販の下剤を多く服用して水様便になり、残便感などで悩む方が多いです。また便秘は大腸がんが隠れている可能性があるので、大腸がん検診の受診をお勧めしたい」(津田医師)