【2021年1月号掲載】

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旭イノベックス「創業70年」へ鉄構主力に世界に通じる〝技術力〟

▲左から西村茂取締役住環機器事業部長、伊藤伸彦取締役土木鉄構事業部長、
星野幹宏代表取締役社長、工藤孝志常務取締役建築鉄構事業部長

洪水から人を守る社会貢献も果たす

▲増築リニューアルした石狩工場と事務所棟
(建築鉄構事業部)

2022年に創業満70年を迎える旭イノベックス(本社・札幌市、星野幹宏社長)は建築鉄構、土木鉄構、住環機器の3事業部で企画・製造・販売を展開。優れた技術力を通じて「洪水から人を守る」という社会貢献も果たしている。星野社長は「2021年度から新たに3ヵ年計画をスタートさせる」と語る。

同社は社会資本整備の一翼を担い、コロナ禍の影響はあまり受けていない。しかし、星野社長は「消費不況から建築不況に至るまで5〜7年のタイムラグがある。そのための手立てや準備はしておかなければならない」と気を引き締める。

主力の鉄骨部門は好調だ。建築鉄構では、20年に完成した道議会新庁舎の建設に携わったほか、進行中の工事では岩見沢市新庁舎、札幌中央アーバンによる場外馬券場「ウインズA館」、札幌駅北口の瑞宝舎跡地で京阪電鉄不動産が展開するオフィスビル建設などに同社の技術が生かされている。

「これまでも新技術の導入を図ってきたが、生産性をさらに高めるため、それらを熟成させていくことが大事」と力説する。

▲道議会新庁舎の建設工事では3D技術を駆使した
(建築鉄構事業部)

その一つが「BIM」と呼ばれる3D技術だ。「ビルディング インフォメーション モデリング」の略称で、コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを再現してより良い建物づくりに活用していく仕組みを言う。

「より正確に、スピーディーに工場生産が行えるよう、6年前から先駆的に取り組んできたものです。ウポポイの建設などに大きな力を発揮しました。習熟度がかなり高まったことで他社との差別化が図られ、市況が悪化した時でも優位性を保つことができると確信しています」と強調する。

橋梁や水門を手がける土木鉄構事業の技術力も世界に通じるものだ。「洪水から人を守る」無人無動力自動開閉ゲートを進化させた「オートゲートステップレス バタフライフロート」が国内特許を取得。さらに国際特許の取得を目指して検討中。

新オートゲートは、過去に内閣総理大臣表彰や国土交通大臣表彰を受けたオートゲートの改良版。複数の新機能を加え、水路敷段差がなくても十分な機能を発揮する特徴がある。

▲豊平川に架かる建設中の北24条大橋
(仮称)の工事も担った(土木鉄構事業部)

「国が自動開閉化への指針を強めたことで、引き合いは加速しています。『世界中から水害で亡くなる人をゼロにする』ことを目標に全国、そして海外へと広めていく考えです。当社の技術が海外市場でどんな可能性を秘めているのか、ある意味、楽しみです」

土木鉄構事業部ではゼネコンと連携のもとダムや橋梁工事にも携わる。豊平川に建設中の北24条大橋(仮称)は送り出し工法という特殊な技術で橋桁の架設を担った。

一方、住環機器事業部は、「冷暖パネル」の普及に力を注ぐ。一般的に知られる暖房のパネルヒーターに冷房機能を加えて開発した「住環境を整える」役割に貢献する商品。同社の住環機器は全体的に「デザイン性が高い」と評価が高い。

「冷暖パネルの認知度はまだまだ低いため、住宅を建てる初期構想の段階で取り入れていただけるよう、プレゼンテーション力を強めていきたい」

65歳定年制を導入アウトプット多い

▲道議会新庁舎〝建築美〟の中に違和感なく
設えられた温水パネル(住環機器事業部)

先駆的な取り組みは人事部門にも見られる。21年4月から導入する「65歳定年制」だ。これまで60歳定年後に希望して雇用形態を変えて延長している者は4月の段階で再び社員となる。

「選択制をとります。『第2の人生は趣味で』といった理由で、60歳で退職する場合も退職金は満額。早期退職の減額はしません」

と、こうも言う。

「健康寿命が伸びています。60歳を過ぎても能力がピークアウトするとは思えません。コスト増となってもそこから生まれるアウトプットは計り知れません」

星野社長は20年度、札幌商工会議所青年部会長に就任、引き続き21年度もその任を担う。コロナ禍にあって、全国で唯一「活動休止」の英断を下し、同じ組織で21年度も活動する「2ヵ年計画」を策定した。

「東京オリ・パラの札幌開催の成功に尽力し、北海道の文化に根づいたレガシーとなることを企画しています」と力を込める。