旭イノベックス株式会社
【2023年1月号掲載】
【住所】札幌市清田区平岡9条1丁目1番6号
【TEL】 011-883-8400
【FAX】 011-883-8405
【URL】https://www.asahi-inovex.co.jp
建築鉄構・土木鉄構・住環機器の3事業部ともに堅調で収益を確保

2022年に創業70周年を迎えた旭イノベックスは建築鉄構、土木鉄構、住環機器の3事業部で企画・製造・販売を展開している。3事業部ともしっかりと収益を確保しており、働き方を含めた社員の待遇改善をさらに進めていく。
主力の建築鉄構事業部は札幌市中心部のビル建設ラッシュもあり、好調に推移している。「BIM」と呼ばれる3D技術の駆使で、デザイン性に富んだ建築ニーズにも十分に応えられていることが優位性を高め、大きな武器となっている。

その一つが、9月に竣工し、10月から順次店舗がオープンしている「IKEUCHI GATEビル」(南1西2)だ。芸術性とテクノロジー、イノベーションが融合した全く新しい形のスマートビルディングで、その大きな特徴である外観の白い鉄骨はまさに旭イノベックスの3Dモデルから生まれたものだ。

このほか、現在工事が進む、すすきのラフィラ跡地の札幌すすきの駅前複合ビル(仮称)や札幌第一生命ビル、公共事業では札幌市駒岡清掃工場更新事業建設、札幌市円山動物園オランウータン館(仮称)建設などの工事にも携わっており、どの現場でも優れた3D技術を発揮している。
北海道新幹線開業を見据え、今後も札幌駅周辺の再開発は加速度的に進むと予想され、「新たな札幌の顔づくり」に大きく貢献していく。
洪水から人を守るオートゲート改良重ねてさらに進化を


土木鉄構事業部は、同社オリジナルの「洪水から人を守る」無人無動力自動開閉ゲートに全国から引き合いが寄せられている。ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞をはじめ数々の受賞歴を持ち、技術的に大変評価が高い。
開発以来、進化を重ね、現在は第3弾となる「オートゲートステップレス バタフライフロート」を展開。国の国土強靭化計画のもと社会資本整備は今後もさらに進むと予想され、このオートゲートが果たすべき役割は大きいとみられる。バリエーションを増やすなど改良を重ねていく。
国際特許の取得を目指し、すでに申請等の手続きを終えている。

一方、住環機器事業部は、主として一般住宅の「冷暖パネル」の普及に力を注いでいる。ただ、建築資材の高騰や札幌圏の地価上昇で新築戸建て住宅の着工ペースは明らかに落ちており、この先大きく改善する要素は見当たらない。
そうしたマイナス要素を22年度は旭川市の小中学校3校の改修工事に伴うパネルヒーターの納品などでカバーできたが、今後は新たな市場開拓を目指し本州での展開を本格的に始動させる。需要が見込まれるタオルウォーマーを、23年6月を目途に発売予定だ。
上場企業と同等な福利厚生や諸待遇
このように、旭イノベックスの建築鉄構・土木鉄構・住環機器の3部門がそれぞれに特色を打ち出し、収益を確保しているのも「優秀な人材」が育っているからにほかならない。それを支えるのが会社の屋台骨である総務・人事部門だ。21年4月にいち早く「65歳定年制」を導入し、その後も矢継ぎ早に福利厚生の充実や社員の待遇改善に取り組んでいる。

星野幹宏社長は、「技人国ビザを活用して、ミャンマーから3人の技術者が研修期間に入っており、まもなく正社員として雇用します。優れた技術・技能を持っているのであれば国籍・性別は不問という考えはこれからも不変です」として、こう力説する。
「働き方の多様化に伴い、雇用形態も多様化できるよう受け皿づくりを進めています。既存の働き方と新しい働き方が共存する中で大切なのは既存の人たちのやる気を失わないこと。新たな雇用を継続的に進めても、現有社員が抜けてはプラスになりません。そのための一例として、支給済みの燃料手当てを2階建てにしてインフレ加算分を支給するなどして改善に努めています。年間休日も114日だったところを121日とし、変形労働時間制から完全週休2日制に移行しました。建設業界の現場では画期的ともいえることです。世情からちょっと一歩先を行く人事施策を意識して、上場企業と同等もしくは少し上を行くくらいの環境を整えていきたいと思っています」