旭イノベックス株式会社
【2025年1月号掲載】
【住所】札幌市清田区平岡9条1丁目1番6号
【TEL】 011-883-8400
【FAX】 011-883-8405
【URL】https://www.asahi-inovex.co.jp
モノづくりからコトづくりへ「新技術・新製品+サービス」で価値向上
ロボット導入で省力化 生産性の効率化を図る
建築鉄構、土木鉄構、住環機器の3事業部で企画・製造・販売を展開する旭イノベックスは、2024年も業績は堅調に推移した。技術力には定評があり、国や道から各賞を受賞したほか、リクルート用のホームページを新設するなど優秀な人材の確保、育成に力を注いでいる。
「当社は数年前から『モノづくりからコトづくり』に転換した取り組みを進めています。社員の給料を上げ、上がった分の価値向上を社員それぞれが図り、その結果、新工法や新製品が生まれる。それにサービスが組み合わさり、企業としての付加価値を高めています」
と星野幹宏社長は力を込めて語る。
主力の建築鉄構事業部は、札幌市中心部のビル建設ラッシュの追い風に乗り、受注は好調を持続している。「BIM」と呼ばれる3D技術を駆使し、デザイン性に富んだ最近の建築ニーズに十分に応え優位性を高めているが、24年3月に型鋼プラズマ切断ロボットを導入したことでさらに磨きがかかった。
「道内で初めて、全国でもあまり例がありません。簡単に言うと、3Dデータを入力するだけで曲面など難しい形の鋼材を切断できる道具です。今後もこうした自動化、省力化により生産性の効率化を図っていきます。『年間何万㌧』といった量を追い求めるのではなく、一定の生産量で付加価値を高めていくことに意識的に取り組んでいます」(工藤孝志専務取締役建築鉄構事業部長)
3D技術のオペレーターは、女性を積極的に登用している。その中にはミャンマーで工学を学んだ女性も複数いる。
オートゲート技術 特許取得で海外へ
土木鉄構事業部は、同社オリジナルの「洪水から人を守る」無人無動力自動開閉ゲートに全国から引き合いが寄せられており、実績を伸ばしている。これまで、ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞をはじめ数々の受賞歴を有し、技術的な評価はとても高い。
24年も、多摩川の工事で国土交通省関東地方整備局長、雄物川の工事で同東北地方整備局秋田河川国道事務所長からそれぞれ「優良工事部門」「優良工事技術者部門」で表彰を受けた。
「多摩川の施設工事では近隣や関係住民に集まっていただき、ゲートの機能や役割を説明しました。それを含めて評価されたので地域社会に貢献できたと嬉しく思っています」(伊藤伸彦専務取締役土木鉄構事業部長)
オートゲート及びバタフライフロートの技術を広めるため、数年前から海外展開も図っている。特にバタフライフロートは、複数の国に国際特許を申請中で、すでに特許を取得できた国もある。近くシンガポールの企業と業務提携を結ぶ予定で、さらに欧州市場への進出も視野に入れている。
電気タオルウォーマー 新技術・新製品で受賞
住環機器事業部では、新製品の電気タオルウォーマー「ホットeラック」が、道主催の24年度新技術・新製品大賞「ものづくり部門」奨励賞を受賞した。公益財団法人北海道中小企業総合支援センターの推薦によるものだ。
壁に取り付ける電気式タオルウォーマーで、小型でデザイン性が高く、使いやすさを追求した製品だ。安全機能も搭載している。
23年に新規投入したダイレクトタイプに続き、24年7月にコンセントタイプを追加発売した。
「要望の多かった既設の住宅に後付けできるタイプです。この製品は乾燥時間が通常の半分くらいに短縮されるのが特徴で、雑菌の繁殖を抑えられるため、濡れたタオルにありがちな、臭いが気になりません」(西村茂取締役住環機器事業部長)
同社は建築鉄構事業部が石狩市、土木鉄構事業部が北広島市、住環機器事業部が栗山町にそれぞれ工場を構えている。「ホットeラック」は栗山町のふるさと納税返礼品に登録された。
採用に特化したHP開設、優秀な人材確保に努める
総務・人事部門の取り組みとしては、インターンシップの強化や採用に特化したホームページを開設するなどして優秀な人材確保に努めている。
「文字をたくさん盛り込んでもなかなか読んでいただけないのでは、という仮説を立て、学生の意見を採り入れ、動画を中心としたビジュアル構成にしました」(佐藤努企画室取締役部長)
加えて、「働きやすい職場づくり」の一環として、社員の作業着をリニューアル。負担軽減のため伸縮性の高い素材を使い、スタイリッシュなデザインを含めて好評だ。
社会貢献活動では、22年から北海道マラソンにキッズサポーターとして特別協賛。「旭イノベックスプレゼンツウイニングラン」が開催されているほか、卓球のプロリーグ札幌開催にマッチパートナーとして協賛。地域振興に一役買っている。
星野社長は「それぞれの事業部門で数年前からチャレンジしてきたことが結実してきている」と語り、石狩工場の隣接地約3000坪を取得するなど将来を見据えた不動産投資を少しずつ始めているという。