かんわ心療クリニック

【2024年9月号掲載】

【住所】札幌市中央区南1条西11丁目1番312号 コンチネンタルWEST‐Sビル4F
【TEL】011‐280‐8222
【URL】https://www.kanwa-mc.com/

がんの告知や再発に悩む人に対する心の緩和ケア

▲稲川 信院長

 かんわ心療クリニックは、「精神腫瘍外来」と「遺族外来」を開設している。

 精神腫瘍外来では、がん患者や遺族に対する精神治療を丁寧に行う。治療ではⅠ精神医学的にできる情報の提供、Ⅱ広義でのカウンセリング(尊厳療法と意味中心療法を応用した支持的精神療法)、Ⅲ薬物療法を実施。

 Ⅱの尊厳療法は「大切な人に対し、自分について覚えていて欲しいことを患者に話してもらう」カウンセリング法。意味中心療法のテーマは『夜と霧』の著者である精神科医のフランクルが掲げる①創造的価値(苦しい状況でも実践できていること)②態度的価値(周囲に配慮する)③「体験的価値」(身近なものに感動する)など。これらを尊重して患者の深い気持ちを支持的に聴いている。

「フランクルがアウシュヴィッツ収容の体験を通して掲げた、この3つの価値はがん患者に共通します。人生そのものの価値に主眼を置いたカウンセリングを行うことで、薬はゼロか最小限に抑えられます」と稲川信院長。

 稲川院長は、東札幌病院で週1回、入院患者の診療を行っている。
 一方、遺族外来では、がんや脳梗塞などで亡くなった方やペットロスの方を対象に診療。
「故人に対する後悔の気持ちで自分を責める患者さんが多く、自分を肯定的にとらえていくカウンセリングを行っています」(稲川院長)