医療法人札幌ハートセンター札幌心臓血管クリニック
【2024年8月号掲載】
【住所】札幌市東区北49条東16丁目8番1号
【TEL】 011‐784‐7847
【URL】https://scvc.jp/
高齢者でも受けられる低侵襲「MICS」手術&「ダヴィンチ」によるロボット手術
医療法人札幌ハートセンター・札幌心臓血管クリニック(藤田勉理事長)は、低侵襲心臓手術である「MICS(ミックス)手術」を実施している。
MICS手術とは、左右どちらかの胸に3~6㌢程度の小切開をおき、肋骨の隙間から心臓にアプローチして手術するもの。
胸の真ん中を切開してアプローチする従来の「胸骨正中切開」と比べて身体的な負担が少なく、いままで開胸手術では困難とされていた高齢者でも手術を受けられる。
また術後の回復が早く、術後5日程度で退院でき、早期に通常の生活に戻ることができる。小切開なので術後、創部も目立たない。
合併症が少ないのも大きな特徴だ。従来の胸骨正中切開では、胸骨骨髄炎や縦隔炎のような重篤な合併症が2%程度起きるとされていたが、このMICS手術では骨を切らないために、骨髄炎などの術後感染症はほぼ「ゼロ」。
この手術は、僧帽弁・三尖弁・大動脈弁の形成術や弁置換術、狭心症に対する冠動脈バイパス術、心臓腫瘍切除術、心房細動に対するMaze手術や左心耳閉鎖術などに幅広く適用され、同院では、この手術を年間150~200例実施している。
ただしこの手術は、限られたスペース(手術範囲)で行うことから難易度がきわめて高い。MICS手術を安全に行える執刀医や医療機関は全国でも限られており、この手術を多く実施している同院は、濱元拓医師(MICSセンター長)、橘一俊医師、若林尚宏医師の3人が担当している。
ところで同院ではMICS手術のうち、僧帽弁・三尖弁形成術については、ダヴィンチを用いたロボット手術を第一選択にしている。
ダヴィンチ手術では、術者は手術場から離れた場所(コンソール)でモニターを見ながらカメラとロボットアームを操作、実際の手術はロボットが行う。ロボットアームの精密な動きと広い可動域により、より繊細な手術ができる。さらに小切開(創部が3㌢程度)で済み、骨にまったく負担がかからないため、術後疼痛も軽減できる。
こちらも濱元拓医師が担当。
「MICS手術とダヴィンチ手術を導入することで、いままで開胸手術では負担が大きくて手術適用にならなかった高齢者でも手術が受けられるようになった。高齢化が進む中、低侵襲治療に力を入れることで地域医療に貢献していきたい」と藤田理事長。