札幌ひざのセルクリニック
【2024年5月号掲載】
【住所】札幌市中央区南1条西16丁目1番245 レーベンビル4F
【TEL】 0120-117-560
【URL】https://knee-cell.com
手術せずに注射で治療、ひざの再生医療クリニックが開業
変形性関節症の人工関節手術は、高齢者には侵襲面で手術に耐えられないケースが多い。また糖尿病や心臓病などの合併症がある場合には、手術の適応が難しく、介護やペットの飼育などの事情で入院できない場合もある。
そういった事情から、いま注目されているのが注射により日帰りで治療できる再生医療で、日本でも2015年頃から行われるようになった。自分の細胞を使うため、アレルギーや副作用はほぼない。
札幌ひざのセルクリニック(川上公誠院長)は、今年2月に札幌医科大学の正面に開業した膝の再生医療専門クリニックだ。
川上院長は関節リウマチが専門で、全身の関節治療に携わってきた。開業前に勤務していた再生医療施設では、およそ1000人の患者にこの治療を行っている。
川上院長が行う再生医療は、①脂肪を用いた「幹細胞治療」と②血液を用いた「PRP」の2種類(完全予約制)。「幹細胞治療」は、傷んだ軟骨を修復させる場合に用いられ、「PRP」の方は、痛みや炎症が強い場合に用いられることが多い。
「幹細胞治療」は、1000万個の幹細胞を関節に注入するのが一般的だが、注入する幹細胞の数が多い程、治療効果が見込めるという臨床研究があることから同院では「2500万個」「5000万個」「1億個」の3種類の幹細胞数による治療を行っている。
また幹細胞は他の加工施設で培養するが、冷凍輸送では解凍の際、半数程度が死滅する。そこで同院では〝冷蔵〟輸送することで細胞有効率95%以上を維持、治療効果を高めている。
一方の「PRP」は、一般に血液採取後に他の施設で加工する場合が多く、B型肝炎やC型肝炎などの感染症がある方は治療を受けられない。同院は厚生労働省の認可施設として院内でPRPの加工が認められているため、血液採取後30分程でPRPを注入でき、即日治療が可能だ。またB型・C型肝炎などの感染症の方でも治療を受けることができる。
これらの再生医療の対象となる疾患は、ひざ・肩・股関節などの変形性関節症やスポーツによる半月板損傷、靭帯損傷、肩の腱板損傷など。五十肩(肩関節周囲炎)にも適用になる。同院では3ヵ月以上にわたる原因不明の慢性疼痛、慢性腰痛などの患者には、幹細胞の点滴治療も行っている。
治療は1ヵ月おきに計3回。自由診療(保険適用外)で、費用は幹細胞治療で1回90万円(税別)〜、PRPで1回15万円(同)〜。
「〝再生医療ありき〟ではなく、患者さんにとって最適な治療法を提案し、その中で再生医療が力になれるのであれば当院で提供しています。農業や酪農、漁業などの一次産業従事者でひざを痛めている方がたくさんいるので全道に再生医療を広めていきたい」(川上院長)