ささもと眼科クリニック

【2023年5月号掲載】

【住所】札幌市北区北39条西5丁目1‐15 北電商販サトウビル2F
【TEL】 011-700-6661
【URL】http://www.sasamotoganka.com/

北大病院「白内障外来」のチーフドクター 急性結膜炎で耐性菌を考慮した治療

▲笹本 洋一院長

笹本洋一院長は北大客員臨床教授や札幌医大臨床教授のほか、北大病院の「白内障外来」のチーフドクター(責任医師)を務めており、毎週金曜日の午後は北大病院で診療している。そのほか北海道医師会の常任理事や北海道眼科医会の会長を務め、道の地域医療構想アドバイザーでもある。

ところで私たちの日常生活は、情報の7割を視覚から得るため、視覚が生活の質(QOL)に及ぼす影響は大きい。

高齢者に多い白内障は、「まぶしい」「かすむ」「文字を読み間違える」「明るいと見えない」「暗いと見えない」など患者によってその症状はまちまちだ。涙目や「ごろごろ」感といった症状の場合、ドライアイや老眼が隠れている場合もある。

最近では、高齢の患者で白内障だと思っていたところ、診断で緑内障だったというケースが目立っているという。白内障はすぐに手術する必要はなく、日常生活で不自由さを感じた時に手術すればよいが、患者が緑内障なのに白内障だと思い込み、受診を先延ばしにしたため、緑内障が進行してしまった例は少なくないという。いずれも自己判断せずに専門医による診断が大切だ。

▲ロビー

「緑内障は治療や手術で元に戻すことはできませんが、進行を遅らせ、いまの視野を保つことはできるので、早期発見・早期治療が大切です」と笹本院長。

一方、結膜炎についても自己判断してしまう患者が多く、注意が必要だ。結膜炎は急性結膜炎のほかにアレルギー性結膜炎があり、アレルギー性についても大きく分けて4種類がある。結膜炎が角膜に波及して視力障害になるケースや淋菌性結膜炎など急速に進行するタイプでは失明に至る例もある。また視力の低下や眼鏡の度数が合わなくなった場合でも背景に病気が隠れていることもあるので、こちらも要注意だ。

同院では、近年問題になっている薬剤耐性菌の対策も講じている。薬剤耐性菌は、抗生物質を使い続けることで薬に対する抵抗力が高まった菌をいう。抗生物質は前述の急性網膜炎のような細菌感染症に有効だが、同時に耐性菌を考慮に入れた治療が必要になる。

ささもと眼科スタッフ
▲明るく親切なスタッフ

「急性結膜炎に対しては、従来は汎用性が高い抗生物質の目薬を処方することが多かったが、耐性菌により治らないケースが増えています。当院では目やにを採取して原因となる菌を特定し、治療にあたっています。急性結膜炎がなかなか治らない場合には、原因菌に合った薬でない可能性があるので注意してください」(笹本院長)

ちなみに今年4月から診療体制が変わるため、受診の際には問い合わせを。

笹本 洋一院長(ささもと よういち)

札幌南高、北大医学部卒。元北大眼科講師。北海道眼科医会会長。北海道医師会常任理事、北海道大学病院客員臨床教授(白内障外科チーフドクター)、札幌医大医学部臨床教授、日本眼科学会専門医。