社会医療法人元生会 森山病院
【2024年10月号掲載】
【住所】旭川市宮前2条1丁目1番6号
【TEL】(0166)45‐2020
【URL】https://www.moriyama.or.jp/moriyama/
神経を避けて手術ができる「トラクトグラフィー」治療初期にリハビリ計画も可能に
安栄良悟脳神経外科部長は、旭川医大脳外の前准教授。
森山病院は、昨年の秋に神経線維描出システム「トラクトグラフィー」を導入した。脳の中にはさまざまな神経が入り込み、たとえ手術で一命をとりとめても周辺の神経を損傷すれば麻痺などの後遺症が避けられない。運動線維が障害されれば手足の麻痺に、言語線維は言語障害に、視野の経路の線維については視野障害になる。
今回導入した「トラクトグラフィー」は、MRIの特殊な神経線維描出画像によって運動線維や言語線維、視野の経路の線維を詳細に描出でき、これらの神経を回避しながら手術することができる。
適用になる疾患は「脳出血」と「脳腫瘍」で、特に脳出血のうちの被殻出血では従来とは違うアプローチにより、神経と神経の隙間から病変を摘出でき、神経を損傷させることなく安全な手術ができる。
加えてこのシステムは、治療の初期段階で障害されていない神経の機能を早期に把握でき、患者のADLを最大限にアップするリハビリ計画を立てることができる。
「このシステムの導入で、術後の後遺症が圧倒的に少なくなり、リハビリについても早期に目標を立てやすくなりました」(安栄医師)