公益財団法人 北海道対がん協会

【2025年1月号掲載】

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【TEL】011-748-5511
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「フォローアップ外来」で生活習慣病を事前に予防、低侵襲の大腸 「日帰り手術」&「便秘外来」でオンライン診療

 北海道対がん協会(加藤元嗣会長)は、24年4月に「フォローアップ外来」を開設した。対象となるのは検査で異常値が出たが「要治療」の前段階で「経過観察」や「再検査」となった「C判定」の人たち。

▲加藤元嗣会長

 高血圧や高脂血症、糖尿病については、動脈硬化の進行程度を把握し、将来脳や心臓の血管障害が起きる確率を評価する「リスク評価」を行い、頸動脈エコーによる画像診断を実施。栄養指導を行った上で経過を診る。その時点で治療が必要な場合には、連携先の病院を紹介する。

 肝機能障害の異常やエコーで脂肪肝の異常がみられた人や、慢性腎疾患で異常が出た人も同様だ。

「特に肝臓がんは、かつては肝炎ウイルスが原因とみられていたが、いまは脂肪肝によるものが多い。アルコールを摂取しなくても肥満で脂肪肝になり、症状がなく肝臓がんに進行する場合もあるので、このような生活習慣病予備軍の方々を対象に早期の段階で発症を事前に予防していきたい」と加藤会長。

▲北海道対がん協会

 一方、大腸では、ポリープを高周波の電気メスを使わずに切除する日帰り手術の「コールドポリペクトミー」を実施。
 担当は消化器内科専門医の松本美桜医師で、前任のNTT東日本札幌病院でこの手術をいち早く実施、道内の「コールドポリペクトミー」のパイオニア的存在だ。松本医師は、この手術を年間720例実施している。

「コールドポリペクトミーは高周波の電気メス(EMR)と比べ、筋肉を傷めることがないので穿孔(穴があく)のリスクが少なく、後出血もないメリットがあります。加えて検査と手術が同時にできるので入院する必要もなく、治療代も安いです」と松本医師。

 さらに「便秘外来」を23年1月に開設。こちらは便秘治療に長年携わってきた消化器内科専門医の津田桃子医師が担当している。

 便秘の治療で使用される刺激性下剤は、腸管麻痺(腸の運動障害)が起きやすく、服用を続けると耐性ができて薬の使用量が増え、悪循環に陥りやすい。そこで「なるべく刺激性下剤を使わずに新規の便秘薬を使って便秘がこじれないように心がけています」と津田医師。

 さらに「便秘外来」では、25年1月にオンライン診療を開始する。当初は1年間の試行段階だが、その後も継続する計画で、遠隔地でも便秘の診療が受けられる。

松本美桜医師
▲松本美桜医師
津田桃子医師
▲津田桃子医師