社会医療法人元生会 森山病院
【2025年11月号掲載】
【住所】旭川市宮前2条1丁目1番6号
【TEL】 0166-45-2020
【URL】http://www.moriyama.or.jp
20年の長期成績で持ちがよく高齢者でも安全な「セメント人工関節」

後藤英司整形外科部長の専門は股関節の関節外科で、変形性関節症の人工関節置換術を通算3000例手がけてきた。
人工関節置換術には数多くの術式があり、いまは骨セメントを使わない「セメントレス人工関節」が主流だが、後藤医師は長年にわたり骨セメントを用いた「セメント人工関節」を行っている。
人工関節置換術は、骨盤(臼蓋)と大腿骨の間に人工関節を装着するが、セメント人工関節では骨盤側に骨セメントを充填することで人工関節を固定する。骨セメントは固まるまで形状が自由自在なので解剖学的に正しい位置に人工関節を固定できる。

とりわけ変形性関節症は、生まれつき臼蓋の形成が不全な女性に多いため、その場合には骨移植を行って形状を整える必要があり、骨セメントが有効だ。
「スクリューで人工関節を固定する場合には固定材料が複雑になり、不具合が起きがちだが、骨セメントの場合は少ない」と後藤医師。
20年で95%と安定した長期成績で、合併症が少なく、出血も非常に少ないので高齢者でも安全に手術できる。ただし骨セメントの充填には経験が必要で、この手術を実施する医療機関は、全国で5%程度と少ない。


