【2020年7月号掲載】

紋別観光振興公社の新設プロジェクトマネージャー 米子 誠氏
アフターコロナのマーケット見据え始動!「地域のポテンシャルを最大限引き出す」

ANA紋別地区総代理店、紋別観光振興公社の新設ポスト、プロジェクトマネージャーに4月に就任した米子誠氏(56)がアフターコロナのマーケットを見据え、長期的な視野で動き始めている。多彩な人脈やノウハウを生かし、同社の中島和彦副社長とともに、ANA「紋別—東京」線の搭乗促進など航空路に関する業務や国内外の観光客の入り込み増強に力を注ぐ。

外資系航空会社で培った人脈を駆使

▲「知れば知るほど北海道は素晴らしい」と
米子誠氏

プロジェクトマネージャーの米子誠氏は金沢大学を卒業後、ノースウエスト航空(現在のデルタ航空)に約30年間勤務。大阪や名古屋、東京で旅行会社と接する業務や営業、マーケティングなどに従事していた。海外出張もこなし、諸外国の航空・旅行事情にも精通している。紋別観光振興公社副社長の中島和彦氏とは、中島氏がかつてクルーズ船の旅行を手掛けるHISの子会社社長を務めていた際に、仕事を通じて接点ができた。

北海道に腰を落ち着けて仕事をするのは初めて。ただ、ノースウエスト航空時代に、札幌市と米国・ポートランド市の姉妹都市交流に関する仕事に携わった経験を持つ。

「札幌とポートランドの交流は昨年60周年を迎えましたが、その10年前の50周年の際に、札幌市国際部や札幌国際プラザの方々とご縁ができ、その年から札幌マラソンの会場にポートランド市を紹介するブースを出展しました」

それがきっかけで札幌マラソンに2回参加、いずれも10キロを完走した。以前はサイパンのハーフマラソンの大会にも出ていたが、腰を痛めてランニングはお休み。代わって、自転車によく乗っているという。

紋別と東京を結ぶ直行便は、市民生活や経済、医療を支える上で、地域の生命線といえるほど重要な位置付けにある。長年、航空ビジネスに従事してきた米子氏はオホーツク紋別空港をどう見ているか。

「最初に感じたのは、空港と市街地の距離がすごく近いことです。実車時間10分で行き来ができるこの利便性ははとても大きい。国内でも指折りでしょう。道路アクセスも良く、ターミナルビルも綺麗でコンパクト。
とても使いやすい空港です」

MICEの受け皿ガリンコ号を活用

▲東京直行便の搭乗率をさらに向上させる

2021年1月に新造船で就航する流氷観光砕氷船「新・ガリンコ号」の営業推進も担う。

「ガリンコ号の知名度は抜群に高い。だけど、知っているけど乗ったことはない、という人は多い。流氷シーズンだけでなく、夏はクルーズ船として運航しているので、たとえば中規模のMICE(マイス)を誘致することで、船上で表彰式やちょっとしたパーティーもできる。いろいろな活用法を探っていきたい」

米子氏は、紋別のまちの雰囲気や産業構成について、生まれ故郷の瀬戸内海に面した伊予市(愛媛県)と対比してこう述べる。

「とても似通っています。というのも、紋別は名産のホタテをはじめとする水産加工が産業の一つの柱となっており、一方の伊予もシェア全国一の削り節の工場が建ち並んでいます。ともに港町で、シーサイドが観光スポット。人口規模もさほど変わりません」

米子氏があえて故郷の地名を口にしたのは、米国の有力紙『ニューヨークタイムズ』が毎年リリースする「行くべき場所ランキング」で2019年、瀬戸内が日本で唯一、ベスト10に選ばれた(7位)からだ。

「紋別とその周辺地域も瀬戸内に負けず劣らずの高いポテンシャルがあると思っています。それを最大限に引き出すことで、オホーツクの広域観光はさらに輝くものになります」

と力説するのだ。

ちなみに瀬戸内は、せとうちDMOが観光推進を担い、海外のメディアや旅行会社への戦略的なマーケティングを行っている。観光資源の一つにしまなみ街道のサイクリングが挙げられるが、紋別でも昨年9月に地域おこし活動の一環として「紋別ファンランド」および「紋別ヒルクライム大会」が開かれ、道内外のサイクリストが昭和中期にゴールドラッシュに沸いた鴻之舞金山跡地などを駆け巡った。紋別観光振興公社内に事務局を置く実行委員会により行った大会だ。

米国姉妹都市2市積極的に情報発信

▲来年1月、新造船のガリンコ号が就航する
(イメージ)

米子氏は海外にも目を向ける。中島氏の手で実績を積み上げたベトナムやタイ、マレーシアなど東南アジア諸国に加え、航空会社時代に培った人脈やノウハウを駆使して、米国にも情報発信していく考え。紋別は米国に2市(ほかにロシアに1市)の姉妹都市を持つ。同緯度のオレゴン州ニューポート市と、北方圏国際シンポジウムを縁に結んだアラスカ州フェアバンクス市だ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく縮小した旅行マーケットは6月以降、少しずつ回復していくとみられる。積極的な観光客誘致策や東京便の搭乗促進活動を進める段階に至るにはもう少し時間を要するが、宮川良一市長も語るように(151頁)「観光は長期的なスパンが大切」であることから、地道に、そして確実に活動の輪を広げていく。