【2020年9月号掲載】

紋別観光振興公社が観光事業を発展的改革!
効果的な情報発信とプロモーション強化

紋別観光振興公社は、かねてから構想を温めていた観光事業の発展的改革に乗り出した。その手始めとして「ヒト」から体制を強化。7月1日付でプロジェクトマネージャーの米子誠氏を観光事業担当部長に据え、旅行センター勤務の篠塚美香さんが観光事業課長に昇格した。ホームページの全面リニューアルなどで紋別の魅力を効果的に発信していくとともに、道内外の旅行会社へのセールス・プロモーションに力を入れていく。

▲観光事業課のオフィス

ANA紋別地区総代理店の紋別観光振興公社が恒常的に行う事業は大きく3つある。
一つは、ANA「紋別―東京」便をはじめオホーツク紋別空港を離発着する航空機の運航支援、旅客サービス、グランドハンドリング業務。
もう一つは、旅行センターでの航空券の発券・販売や、国内・国外の募集型旅行の企画・販売。
そして、もう一つが、観光案内や四季を通じてのイベント実行および支援、観光客を受け入れる着地型観光の推進に関する業務だ。

フットワーク見せ民間の強み発揮へ

▲ゆるキャラ「紋太」の商品開発への意欲も語る篠塚美香さん

今回、体制強化を図ったのはこの着地型観光推進に関する観光事業課。3年前に統合した旧紋別観光協会の業務を主として手掛けてきたセクションだ。
この統合は、旧紋別観光協会が担ってきた観光事業を紋別観光振興公社が継承し、観光による恩恵を市内経済に広く波及する仕組みの構築が目的だった。イベントの開催支援や宣伝事業、広域観光推進の取り組みを行ってきたが、夏の「もんべつ港まつり」や冬の「もんべつ流氷まつり」の実行委員会としての色合いが濃く、戦略的な情報発信やセールス・プロモーション活動が十分にできていなかった。
組織の改革に着手したのはそんな理由からだ。観光事業課をリ・スタートさせることで、これまで以上に民間会社としてのフットワークや蓄積された経営ノウハウを発揮していくのが狙いである。
「ヒト・モノ・カネ」のうち、まずは「ヒト」から強化。旅行センター勤務の篠塚美香さんを昇格異動させ観光事業課長に抜擢した。
旧観光協会に所属していた篠塚さんは統合で旅行センターに移り、その経験を生かし、今度は着地型観光の商品造成などを手がけていく。旧観光協会時代は道立オホーツク流氷公園の勤務歴やボランティアガイドの育成経験もあるほか、それ以前は北紋バスにガイドとして6年ほど勤めていたことから、紋別はもちろん道東観光のイロハを知り尽くしているのが強み。
篠塚さんはこう語る。
「今の時代、SNSによる発信は重要なコンテンツです。ホームページをより使いやすく、わかりやすく全面リニューアルし、フェイスブックの更新頻度も効果的になるよう、考えながら行っています」
7月のフェイスブックを見ると、オホーツク流氷公園のラベンダー畑やオムサロ原生花園のハマナスが見ごろを迎えていること、また観光目的で訪れる人が比較的少ない大山町の美はらしの丘バラ園を紹介しているほか、港まつり実行委員会による「みんな笑顔に 元気クルーズ! !」のスタートなどを発信している。
このクルーズは新型コロナウイルス感染予防のため中止した「港まつり」に代わり、市民限定でガリンコ号Ⅱに無料で乗船してもらう試み。帰省中の人にもオホーツクの青い海を楽しんでもらいたいと、市民が一人でも含まれていればグループで乗船できる。小学生以下の子どもには花火のプレゼントも。
篠塚さんは広域型観光の推進にあたり、こうも強調する。
「紋別、滝上、湧別、遠軽、丸瀬布、白滝の6つの地区でオホーツク・フラワーロード『花回遊』に取り組んでいます。花を見るだけでなく、実際に手で触れて体験できる新しいオホーツクの魅力を創造する200キロの回遊ルートです。周囲の地区と連携しながらPRに努めるほか、花の季節に限らず通年で観光客を誘致できる魅力を発掘、発信していきます」

道内、国内客から「選ばれる紋別」に

▲「紋別の持つポテンシャルを引き出す」と米子誠氏

観光担当部長には米子誠氏が就任。金沢大学卒業後、ノースウエスト航空(現在のデルタ航空)に約30年間勤務。大阪や名古屋、東京で旅行会社と接する業務や営業、マーケティングなどに従事していた。
北海道勤務は初めてだが、今春、着任するや否や、小型機による流氷デモフライトツアーを立案。3月28日に西紋別広域観光戦略委員会(委員長・中島和彦紋別観光振興公社副社長)がこれを実現させ、宮川良一紋別市長や興部、雄武などの観光関係者が搭乗した。空から見るオホーツク海の流氷は観光素材として十分にアピールできることが確認され、来年2月に向け流氷フライトツアーの商品化を計画中。新造船「ガリンコ号Ⅲ IMERU」の就航と相俟って「海と空から流氷観光を満喫できる」と話題を呼びそうだ。
米子氏は、
「コロナ禍にあって、東京との直行便を飛ばし続けてくださったANAには心底から感謝しています。インバウンドの需要回復の見通しがたたない中、東京便の搭乗率を高めるには国内旅行客に『選ばれる紋別』でなくてはなりません。『紋別に行ってみたい』と思っていただくために、紋別を訪れるツアーを紋別の観光案内所のホームページに載せるほか、市内の感染予防対策や個人型早期割引運賃の利用法などを発信、旅行会社へのセールス・プロモーションの強化に努めます」
と力強く語る一方で、札幌をはじめ道内客の取り込みにも目を向ける。
「1泊あるいは日帰り旅行ですね。例えば近畿日本ツーリストで販売中の『星空のカニで紋別を満喫するプラン』といったように食の魅力は欠かせません。その点、紋別はカニやホタテといった水産資源が豊富です。LCCを利用して新千歳空港に降りたお客様向けにも、手軽に海の幸や流氷を楽しめるツアーもつくっていきます」

自転車や牧場体験幅広く資源を発掘

▲渚滑川のラフティング


▲好評だった「ファンランド&ヒルクライム」


▲太陽牧場のキャンピング

紋別といえば、ガリンコ号や、道立流氷科学センター、オホーツクタワーなど「流氷」に関する施設に加え、オホーツクとっかりセンターとアザラシシーパラダイスのアザラシを観光資源とした「紋別ならでは」の施設が知られる。これらはすべてガリヤ地区と呼ばれる地域に集中している。
移動の少ない利便性はある。だが別の視点で言えば「ほかに観光できる見どころが乏しい」といった見方にもつながる。そのため米子氏も篠塚氏も「PRポイントをさらに増やしたい」と力説する。
その一つが、紋別市地域おこし協力隊のメンバーが手掛けてきた事業を継承し、発展させることだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった「紋別ファンランド&コムケ湖ラフティング」は昨年実施した「紋別ファンランド&ヒルクライム」の第2弾。いずれも公益財団法人太陽財団の助成採択事業だ。
「景観の素晴らしい大山に登るヒルクライムランは全国の愛好家にとても好評でした。健康志向もあって自転車人口は増えており、渚滑川のラフティングやコムケ湖のカヌーなども合わせて楽しめればスポーツ型レジャー・アクティビティとしての魅力はもっと高まるでしょう」
と米子氏が語れば、篠塚さんも、
「海のイメージが強い紋別は酪農も盛んです。生乳生産量はオホーツク管内屈指で品質も折り紙付き。例えば太陽牧場でのキャンプや搾乳といった、あまり知られていない資源を効果的に広めていきたいですね」
多様化する観光ニーズに応え、紋別の魅力を幅広く創出していく考えだ。