社会医療法人医仁会 中村記念病院

【2023年10月号掲載】

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脳動脈瘤に「クリッピング手術」、進行性脳梗塞に「バイパス手術」

渡部  寿一脳神経外科部長
▲渡部 寿一脳神経外科部長

 渡部寿一医師の専門は、脳血管障害の治療。
 脳動脈瘤(未破裂およびくも膜下出血)の治療では、チタン製のクリップで頸部を挟んで出血を起こさないようにする「クリッピング手術」を実施している。術者に熟練が必要で、とりわけ動脈瘤が脳の細い血管(穿通枝)に癒着している場合には、顕微鏡下でそれを剥離する技術が必要。穿通枝は運動や認知機能を司るため、剥離の際に損傷すると認知機能障害や片麻痺が生じるリスクがある。

 通常、動脈瘤は血管の分岐部に生じることが多いが、分岐部以外の箇所で血管自体が膨れた瘤や解離(血管が裂けて出血)した場合には、血管を遮断し他から血流を補うため頭部の皮膚や腕の血管を脳の血管につなぐ、バイパスを併用したクリッピング手術を行う。

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 一方、アテローム血栓性脳梗塞の中で進行性脳梗塞の場合には、前述の頭部皮膚の血管をバイパスで脳の血管につなぐ「浅側頭動脈─中大脳動脈バイパス術」(STA‐MCA bypass)を急性期に実施。

「脳梗塞や脳動脈瘤の治療では、救える命や機能を取りこぼさずに救っていきたい思いで手術を行っています」と渡部医師。

渡部 寿一脳神経外科部長(わたなべ としいち)

札幌医科大学卒。函館脳神経外科病院、函館赤十字病院、亀田総合病院(千葉県)などを経て、2017年4月から現職。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳卒中の外科学会技術指導医。