■〝メノポーズ〟って? 更年期を知って上手に向き合う
このたび「メノポーズカウンセラー」の試験に合格しました!
2024年春から、学会のオンライン講習を受講し、何十年かぶりに“試験”に臨みました。「合格通知」が届き、周りの人たちに喜びを伝えるのですが…「おめでとう!でもメノポ―ズって何?」と、残念ながら聞き返されることがほとんどです。
「メノポーズ」とは?直訳すると「月が止まる」という意味で、〝閉経〟や“更年期〟のことを指します。更年期には個人差がありますが、一般的に40代後半から50代半ばにかけて訪れることが多く、閉経の前後5年間、合わせて10年ほどの期間です。ネガディブなイメージが強いため誤解も多く、女性でも知らないことがたくさんあります。
例えば、女性ホルモンはどこでコントロールされていると思いますか?
正解は「脳の視床下部」。視床下部から出された指令は脳下垂体から卵巣へと伝えられ、女性ホルモンが分泌されます。しかし、更年期になると卵巣の機能が低下し、女性ホルモンのひとつエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が急激に減少。視床下部はエストロゲンを多く分泌させようとさらに指令を出しますが、エストロゲンの分泌量は増えません。この状態を繰り返すうちに、視床下部がパニックを起こしてしまうのです。
視床下部は自律神経をコントロールする働きもあるため、自律神経のバランスが乱れ、ホットフラッシュ(突然の発汗やのぼせ)、動悸、肩こり、不眠、イライラ、うつ状態など、さまざまな症状を引き起こします。
更年期には、軽いものも含めると約7〜8割の女性が何かしらの症状を自覚していると言われていますが「病院に行くほどではないかも」と周りの人にも相談できずに、過ごしている方がほとんど。また、体調面だけでなく、キャリアや家庭環境の変化といったライフイベントとも重なることが多く、心身共に負担がかかりやすい時期でもあります。
私がメノポーズカウンセラーの資格を取ろうと思ったのは、自身の経験がきっかけでした。コロナ禍のある日、激しい動悸や発汗が突然起きるようになり、「コロナや仕事のストレスかも」と半年間ほど我慢していました。しかし、仕事に影響が出始め、婦人科を受診。更年期症状であると診断され、ホルモン補充療法(HRT)を開始しました。
すると…治療を始めて1週間ほどで全ての症状が止まり、日常生活が劇的に改善されたのです。「もっと早く受診すれば良かった」という後悔と共に、正しい知識を持つことの重要性を痛感しました。
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更年期を健やかに過ごすためには、3つのポイントがあります。
①正しい知識を持つ
更年期は恥ずかしいことでも、避けるべきことでもありません。体の変化を知り、それが自然な現象であると理解するだけで、不安感が軽減されます。信頼できる情報源から知識を得ることをお勧めします。
②セルフケアを意識する
適度な運動やリラクゼーション、食事のバランス、睡眠の質を見直すことなどでも更年期症状を和らげることができます。早めにセルフケアの習慣を身につけることは、健康寿命を延ばすことにも役立ちます。
③専門医に相談する
症状が辛いと感じたら、迷わず専門医に相談してください。ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬、認知行動療法(CBT)など、多様な選択肢があります。自分に合った方法を見つけることが大切です。
メノポーズは、決して恐れるものではありません。「その時になってから知る」のではなく「備えておく知識」としてヘルスリテラシーを高めていけば、メノポーズは健康で穏やかな充実した人生の一部になるはず。
女性たちと医師をつなぐ架け橋として、メノポーズに対する社会の理解を深めることも私の使命です。働く女性が更年期症状を抱えながらもキャリアを続けられる環境づくり、家族が理解を深めるための啓発活動にも力を入れていきたいと思います。どんな小さな悩みでも構いません…気軽にご相談くださいね。
(構成・黒田 伸)
■松本裕子さんへの講演依頼
閉経や更年期について正しい知識を持ってもらおうと、松本さんは各地で講演会や勉強会を行っている。昨年10月14日には北広島市芸術文化ホール活動室で「Happy Womenになりたい!健康で美しく歳を重ねるために」を開催。医療関係者を含め多くの男性も受講し、今春に2回目が計画されている。講演依頼や問い合わせは松本さんが代表を務める「WELLyou」を検索。