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■ 意外と知らない…〝関節リウマチ〟のウソ・ホント

「リウマチって高齢者に多い、手の指が変形して治らない病気でしょ?」

 私が関節リウマチの啓発活動に携わって、早いもので10年。番組でも何度も取り上げてきた疾患の一つですが、何度放送しても視聴者の皆さんからの反響が大きく、関節の痛みで苦しんでいる方がとても多いことに驚かされます。
 国内の患者数は、約83万人と推定される関節リウマチ。決して珍しい病気ではありませんが、未だに誤解や偏見が存在しているのも事実です。

 UHBで放送中の「松本裕子の病を知る」、2025年最初のシリーズはその名も「教えて小池先生!リウマチのホント」。北海道内科リウマチ科病院最高顧問の小池隆夫先生に、意外と知らないリウマチのウソ・ホントをズバリ解説していただきました。

Q1リウマチは加齢によって起こりやすく、特に高齢者に多い病気である。
 小池先生の答えは…「ウソ」

 加齢自体が直接の原因ではありません。リウマチの炎症は、関節の周囲を覆う「滑膜」から始まり、この滑膜が厚くなっていくと骨が破壊され、関節の変形が進行していきます。その原因は、外敵から体を守る「免疫システム」の異常。自分の細胞や組織を攻撃してしまうことで炎症が起こる代表的な「自己免疫疾患」です。

 特に高齢者に多いわけではなく、発症は40〜60代、男女比は1・4で女性に多く見られる病気です。しかし、「最近では高齢化に伴い、高齢で発症する方も増えていて、男性の割合も増加しています」と小池先生は話します。

 一方で、加齢によって発症する代表的な病気は、国内に約2500万人の患者さんがいると考えられている「変形性関節症」。加齢によって関節の摩耗や軟骨がすり減ることが原因で、リウマチと似た関節痛やこわばりが生じるため、鑑別しなければならない代表的な疾患です。

Q2リウマチの発症は、必ず関節の激しい痛みから始まる。
 こちらも答えは…「ウソ」

 リウマチの初期症状は「激しい痛み」と考えられがちですが、小池先生によると、初期症状で最も多いのは、手が握りづらくなる「手のこわばり」。また、関節を押した時に痛みを感じることもあります。

 特に、「手指の第2番目、第3番目」「手首」の関節は、最も症状が出やすい部位で、患者さんの多くは、ここから病気が始まります。ただ、症状のあらわれ方には個人差があるため、ひじや膝、肩などの比較的大きな関節に症状が出ることも稀ではありません。

▲1月からは小池先生と共に、古巣のニューススタジオで収録!

*  *  *

Q3リウマチは親から子へ“遺伝”する。
 小池先生によると…「ウソとホント」

 体質は親から子へ引き継がれるため、親がリウマチの場合、子どもが発症するリスクは、一般の人に比べて若干高まるのはホントです。しかし、「リウマチは親から子へ必ず遺伝し発症する“遺伝病”ではありませんので、決して誤解しないで下さい」と小池先生は呼びかけます。

 リウマチは、遺伝的な要因だけではなく、喫煙、歯周病、ストレスなど、様々な環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

Q4リウマチは“不治の病”である。
 最後も小池先生の答えは…「ウソ」

 かつては、有効的な治療薬がなく、寿命にも影響してきたリウマチは“不治の病”と言われ続けてきました。しかし、2000年代に入り新しい治療薬が続々と登場し、リウマチの治療は大きく進歩。これにより、発症初期の段階から症状をコントロールできるようになり、関節破壊を防ぐことが可能になっています。

 治療によって病気の症状がほとんど、または完全に消失した状態=「寛解」に至る患者さんは、2000年には全体の10%に満たなかったのですが、2019年には60%を超えているというデータにも驚きです。

 リウマチという病気を正しく理解し、早期に診断、適切な治療を行えば、自分らしい日常生活を送ることができる時代。番組では引き続き、診断、治療、生活の注意点など、小池先生にさらに詳しく教えて頂きます。

(構成・黒田 伸)

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松本 裕子(医療キャスター)

松本裕子

uhbニュースキャスター時代に母親のがんがきっかけで2010年からがん医療取材・啓発活動をスタート。北海道新聞とともに「がんを防ごう」キャンペーンを展開し、予防や早期発見、最新治療、がんと生きる―などをテーマに医療特集を自ら制作。その後、現代人を襲う様々な疾患について、患者に寄り添った取材活動を続けている。また、女性のライフスタイルや健康のサポートにも取り組んでいる。
★uhbで毎月第4日曜日 早朝6時15分〜6時30分「松本裕子の病を知る」放送中。
 YouTubeでも配信している。