曹 淑媛さん(台湾出身)
(2024年7月号掲載)
日本有数の観光地支える”おしどり夫婦”
インバウンドが回復傾向にあることから、〝観光立国・北海道〟の復活も近いと言えそうだが、本道屈指の観光地、富良野エリアで「お客様に〝良い思い出〟を提供するのが私の仕事」と清々しく話してくれたのは台湾出身の曹さん。
中富良野でグランピング施設『グランプソラ』を運営する曹さんは来日11年で、記者が〝雪のない国〟からの来道者にぶつける「後悔しませんでした?」の問いには、「後悔なんてとんでもない!楽しみの方が断然上でした!」前向きな姿勢が心地良い。
来道後は、大手の観光企業に就職し、接客業務に従事。その後結婚し、ご主人と夢だった宿泊施設を開業した。
開業までの経緯を伺っていると、「開業するための事業計画書が何度も跳ね返されたんです」――と。やはり苦労もあったのだろうと思いきや、奥の厨房で料理中だったご主人から、「全く凹んでなかったですよ。すぐに切り替えて次、次、次。私はその後をついていくだけです(笑)」根っからのポジティブ思考のようだ。
7ある客室がフル稼働するときも少なくない。そんな時は「友人が手伝いに来てくれるんです。ホントにありがたい」曹さん夫婦の人柄があってこその“助っ人”に違いない。
「6月には母と弟が台湾から手伝いに来てくれる」と新たな助っ人を喜ぶ一方、「父にも来てほしかった」と声を震わす場面も。実は曹さんのご尊父は昨年他界。「施設を案内してあげられなかった」という悔しさからだ。
ご尊父の来館は叶わなかったが、日本有数の観光エリアを支える曹さんをきっと誇りに想い、今後の活躍を天国から祈っているはず。これからも身体に気を付けて頑張って!