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ヘルスケア 〜症状から治療まで〜

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ヘルスケアイメージ

脳神経外科】脳腫瘍、脳梗塞、くも膜下出血…ドクターがアドバイス

「ヘルスケア大百科」は病気にならないための健康情報に加え、診療科ごとに顕著な病気を専門医に解説してもらうシリーズ。9月号から誌面をリニューアルし、最新のトピックスを掲載、また食事や運動について識者のインタビューを加えた。
3回目は、脳神経外科の主だった病気について専門医の意見を交え、わかりやすく紹介する。

【脳卒中】血管が「詰まる」&「破れる」の2種類

脳卒中の種類を図1にまとめた。

脳梗塞の中の①アテローム血栓性梗塞は、脳の太い血管が詰まるもの(中梗塞)。

②ラクナ梗塞は、脳の細い血管が詰まるもの(小梗塞)で日本人に多いタイプ。

③心原性脳塞栓症は、心臓にできた血栓が血流によって脳まで運ばれ、脳の太い血管を詰まらせるものだ(大梗塞)。

一過性脳虚血発作とは、一時的に脳が虚血状態になるが、24時間以内に改善するもので、脳梗塞の前兆症状だとされている。

一方、脳出血は、脳の中にある小さな血管が切れて破れ出血するもの。

くも膜下出血は脳の表面の血管にできたこぶ(脳動脈瘤)が破れて脳の表面が出血する病気だ。

【脳卒中食事&運動】血液をドロドロからサラサラにする5成分

脳卒中の原因は動脈硬化と血栓が主だが、血液がドロドロだと、これらを招きやすい。

そこで血液を「サラサラ」にする食材を紹介すると、①青魚、②タマネギ、③納豆、④野菜(ビタミンC・E)、⑤海藻——の5つ(図2)。

①青魚は、特にマグロやカツオ、アジ、サバ、サンマがDHAやEPAを多く含む。

②タマネギに含まれるアリシンは、血液の凝固を抑える作用があり、血栓ができにくいと言われている。同じくケラチンは、中性脂肪を下げる働きがある。

③納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓を溶かす作用がある。ただし抗血栓薬の「ワーファリン」服用の場合には注意が必要だ(札幌医大・齋藤重孝教授インタビュー参照)。

ここではタマネギと海藻を使ったコンブだしのタマネギスープの作り方を紹介する(図3)。

動脈硬化の原因のひとつに高血圧があげられるが、運動では血圧を下げる手軽なエクササイズの「タオルグリップ」を紹介しよう(図4)。

【くも膜下出血】太い血管から枝分かれの箇所にできやすい

くも膜下出血は、血管に風船のようなこぶ(瘤)ができ、これが破れて出血する病気だ。

このような瘤は、血管(動脈)の中でもできやすい箇所とそうでない箇所がある。特に太い血管が枝分かれしているような箇所は要注意だ(図5)。

原因は、分岐点にあたる血管の壁に力が加わって瘤ができやすくなることや、高血圧などで血管自体がもろくなることが言われている。

●【脳梗塞】コーヒーは脳梗塞の予防に効果あり?
最近コーヒーが脳梗塞の原因である血栓(血のかたまり)をつくりにくくする働きがあると言われるようになった。
コーヒーに含まれるカフェインが「サイクリックエーエムピー」という物質を増やし、それが血小板に対抗して血栓ができにくくなるというもの。あくまでも仮説だが、試してみては。

【脳梗塞】血圧が高いと血管に傷がつき修復作用で詰まる

脳卒中の中でも脳梗塞は発症が多く、全体の7割を占める。

その脳梗塞には①「脳血栓」と②「脳塞栓」がある。

前者は動脈硬化で血管の内側がつまる病気。後者は不整脈で心臓から血のかたまり(血栓)が飛ぶ病気だ。

①動脈硬化による「脳血栓」の原因だが、血圧が高いと血管内の血液と直接触れている内膜に傷がつく。その傷を修復しようとして、血小板や白血球が山状に集まるが、砂山のように崩れ剥がれやすい。剥がれた場所に血小板や白血球がさらに集まり、徐々に血管が狭くなり、血管の内側が詰まって血流が途絶え、脳梗塞を発症する(図6)。

一方、②「脳塞栓」の原因だが、心房細動になると心臓のポンプの働きが弱くなるため、心臓の中で血のりができやすくなる。その血のりが固まって、脳の血管に飛ぶことになる。

特に前述した心房細動は心臓に血栓をつくりやすい病気。左心房でできた血栓が左心室から大動脈を経由して脳動脈を閉塞すると、脳の血流が途絶えて脳梗塞になるのだ。

①脳血栓には、片麻痺や言語障害のような前兆になる症状がみられるのに対し、②脳塞栓の場合には前兆がなく突然発症するので、心房細動などで不整脈がみられる人は、より注意が必要だ。

●【脳卒中】人気のサプリはDHA&EPA
脳卒中の予防で人気のサプリメントの代表格はDHA&EPA。青魚に多く含まれる脂肪酸で、WHO(世界保健機関)も推奨している。最近ではDHA&EPAにナットウキナーゼやケルセチンを配合したサプリも販売されている。

脳卒中(くも膜下出血)動脈瘤が小さくても破裂することに注意

▲北海道大学
脳神経外科
中山 若樹講師

——くも膜下出血の原因は。
動脈瘤ができる原因は、血管が枝分かれしている箇所に血流による物理ストレスがかかることで炎症が生じ、血管の壁が弱くなって膨らむことが考えられます。そのほか高血圧や動脈硬化、閉経後の女性に多く発症することからホルモンの変化など、複合的な要因が指摘されています。
未破裂動脈瘤の大きさは、小(5ミリ未満)、中(5〜15ミリ)、大(15ミリ以上)、巨大(25ミリ以上)に分けられます。注意したいのは、小さくても破裂する場合があること。実際に破裂した患者の3分の1が5ミリ未満の動脈瘤です。

——診断・治療は。
MRAに画像診断を行います。破裂した場合はかなりの確率で24時間以内に再破裂するため、①開頭によるクリッピング手術や②カテーテルによるコイル塞栓術を行います。未破裂の治療も同様ですが、治療せずに定期検査(半年ごと)で経過観察する場合もあります。

脳腫瘍膠芽腫が代表格「治療電場」の新治療も

——脳腫瘍の種類は。
良性腫瘍には①髄膜腫、②脳下垂体腫瘍の2つの病気があり、悪性腫瘍には③膠芽腫、④悪性リンパ腫、⑤転移性脳腫瘍があります。
悪性腫瘍では③膠芽腫が代表的です。脳を構成している細胞である「グリア細胞」ががん化したものを「グリオーマ」と呼びます。最も軽いもの(ステージⅠ)は治療すると長期間、生存が得られます。最も悪化したもの(ステージⅣ)が「膠芽腫」で、残念ながら平均生存期間は1年半ぐらいです。
頭痛や吐き気、目がぼんやりするといった症状が出た場合は、脳内の圧力が上がっている証拠なので、早目の受診をお勧めします。症状で悪性と良性を判断することは難しく、CTやMRIによる画像診断と針生検で鑑別します。ちなみに脳腫瘍では腫瘍マーカー(採血)やPETは有効ではありません。
膠芽腫の治療は、外科手術がメーンで、手術の後はテモダール(飲み薬)と放射線治療の併用が一般的です。最近、頭皮にセラミック製の板(アレイ)を粘着性シートで貼って治療電場で膠芽腫の増殖を抑える治療が低侵襲の新治療法として注目されています。
④悪性リンパ腫は、生検で診断し、治療は一部切除手術のあとにメトトレキサートによる抗がん剤治療と放射線治療の併用になります。平均生存期間は5年ぐらい。
最後に⑤転移性脳腫瘍は、肺がんや直腸がんが脳に転移したものです。治療は放射線治療が基本となります。

脳卒中(脳梗塞)心臓から血栓が脳に飛ぶ「ノックアウト型」脳塞栓症

▲旭川医科大学
脳神経外科
安栄 良悟講師

——脳梗塞の種類は。
大きく分けて①脳の血管が悪い、②心臓が悪い、の2つに分類できます。
①は、糖尿病や高血圧、高脂血症などによる動脈硬化が原因のアテローム血栓性梗塞ないしはラクナ梗塞で、麻痺や言語障害、ものが見えづらいなどの症状を呈します。
②は、突然強い麻痺や意識障害が発症する脳塞栓症で、突然発症することから「ノックアウト型」と呼ばれています。

——診断・治療については。
まずCTで出血の有無を調べ、次にMRIやMRAで血管の詰まりを診ます。
治療では、①のアテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞については、アルガトロバンのような抗凝固剤による点滴治療と、アスピリンやクロピドグレルのような抗血小板剤による薬物治療を行います。
②の脳塞栓症では急いで血流を再開せる必要があり、カテーテルで血栓回収を行う血管内治療を行います。

食事DHAやEPAを 含む青魚と納豆の摂取がお勧め

▲札幌医科大学
保健医療学部
基礎臨床医療学
齋藤 重幸教授

——脳梗塞を予防するための適切な食事とは。
脳梗塞には①動脈硬化によるものと②血栓が飛ぶものの、2つのタイプがあります。
食事の欧米化により、コレステロールの値が高くなって動脈硬化をおこしやすく、また加齢により脈のリズムが乱れて血栓ができやすくなります。
①の動脈硬化による脳梗塞を予防するには、玉子などのコレステロールを多く含む食材を摂り過ぎないことや、DHAやEPAを多く含む青魚を摂取することが大切です。
②の血栓による脳梗塞予防については、血栓を予防する納豆(ナットウキナーゼ)がお勧めです。ただし注意したいのは心房細動の患者さんで抗血栓薬の「ワーファリン」を服用している場合には、納豆に含まれている「ビタミンK」が薬の効果をなくすので納豆は摂ってはいけません。最近ではワーファリンに代わる新しいタイプの抗血栓薬が出ており、その場合には納豆はお勧めです。

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