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ヘルスケア 〜症状から治療まで〜

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ヘルスケアイメージ

【皮膚科】アトピー性皮膚炎、皮膚がん、乾癬で困らないためのビフォー&アフター

「ヘルスケア大百科」は病気にならないための健康情報に加え、診療科ごとに顕著な病気を専門医に解説してもらうシリーズ。11回目はからだの中で外界とのバリア機能を担う皮膚の主だった病気について皮膚科の専門医の意見を交え、わかりやすく紹介する。

【アトピー性皮膚炎・乾癬】バリア機能の低下の「アトピー」表皮細胞異常増殖の「乾癬」




アトピー性皮膚炎は、強いかゆみと発疹が繰り返しあらわれる皮膚の病気である。発疹は、顔や首、肘、膝などにあらわれやすく、ひどくなると全身に広がる。

アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が弱まり、水分が外に出てしまうため、肌が乾燥し、外部からアレルゲンなどの刺激物質が侵入しやすくなる。刺激を受けるとかゆみを感じ、掻くと傷口ができ皮膚の状態が悪化し、かゆみを増すといった悪循環になる。(図1・2)

一方の乾癬は、かゆみを伴うカサカサした赤い皮疹がでる病気。

皮膚は外側から「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3層に分かれ、表皮はさらに「角層」、「顆粒層」、「層」、「基底層」の4層に分かれる。

基底層では常に新しい表皮細胞がつくられ、古い表皮細胞は新しい表皮細胞によって角層へと押し上げられ、角質を経てとなって剥がれ落ちる。

この過程を「ターンオーバー」と呼び、通常28〜40日で繰り返される。

だが乾癬の場合、表皮細胞の異常な増殖によりその周期が4〜5日と極端に短くなって角質がフケのようにポロポロ剥がれる。これが乾癬の発症のメカニズムだ。(図3)

【アトピー性皮膚炎】「入浴」と「保湿」でバリア機能を保つ「スキンケア」

アトピー性皮膚炎にとって乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を正常に保つ「スキンケア」はきわめて大切だ。

スキンケアの基本は、清潔な皮膚を保つための「入浴」と皮膚のうるおいを保つ「保湿」である。

入浴では、石鹸をしっかりと泡立てることが大切。固形石鹸では泡立てネットを、液体石鹸ではペットボトルを活用するとよい。体が温まるとかゆみが生じやすくなるため、長時間や高温の入浴は避けたい。(図4)

入浴で皮膚の脂分が洗い流され、乾燥するため、入浴後5分以内に保湿剤を塗ることが大切だ。

●【アトピー性皮膚炎】アロマテラピーはアトピーに有効?
アロマの中で鎮静作用や痒みを抑える作用、殺菌作用がある精油(エッセンシャルオイル)が注目されている。具体的には「テイーツリー」や「ラベンダー」、「カモミール」などがアトピー性皮膚炎によいとされる。
芳香浴(香炉を使って噴霧)や入浴、オイルマッサージでお試しを…。

【イボ・タコ・ウオノメ】ウイルス感染の「イボ」痛い「ウオノメ」、痛くない「タコ」

私たちがよく耳にする「イボ」と「タコ」、「ウオノメ」の違いをご存知だろうか。

「イボ」は、ウイルス感染によるもので、感染が拡大すると数も増える。子どもの足の裏の「イボ」は、「ウオノメ」や「タコ」と間違われやすいが、表面がザラザラして薄く削ると点状に出血するのが特徴だ。

「ウオノメ」は、通常大人の足の裏やなどにできる直径5〜7㍉の硬い皮膚の病気。歩行や圧迫により、激しい痛みを伴うのが特徴だ。魚の眼のような芯が中心に見えることから俗に「ウオノメ」と言われるが、医学的にはという。

「タコ」には、「ウオノメ」のような芯がなく、痛みもなく、辺り全体の皮膚が盛り上がる。(図5)

●【皮膚がん】日焼けで肌が赤くなる場合は要注意
幼少期から思春期までの期間に、日焼けになると大人になって皮膚がんになることが指摘されている。「日焼けで肌が黒くならずに赤くなる人は要注意です」(札幌医大の宇原久教授)
子どもの日焼けが原因で70〜80歳で発症することもある。子どもの頃から日焼け止めなどの紫外線対策が必要だ。

【食事】痒みの原因「ヒスタミン」を 抑える「レンコン」




レンコンやしいたけ、レバーなどはビタミンB・Cなどを多く含み、アトピー性皮膚炎によいとされている。特にレンコンは、「カテキン」が多く含まれ、抗酸化作用を活性化させる働きがある。また痒みの原因「ヒスタミン」を抑制する作用があり、痒みの軽減が期待できる。

逆に「ヒスタミン」を多く含む食材は避けた方がよい。ヒスタミンを多く含むものは、魚の干物やキウイ、山芋など。(図6)

アトピー性皮膚炎によいとされる「炊き込みごはん」のレシピを紹介する。(図7)

 

【アトピー性皮膚炎】バリア機能 の低下と免疫異常が原因 寛解の「導入」と「維持」で治す

▲北海道大学
皮膚科
乃村 俊史講師

——なぜアトピー性皮膚炎になるのですか。
アトピー性皮膚炎の原因の1つに遺伝的な素因と生活習慣により、皮膚(角質)のバリア機能が落ちることがあります。家族に喘息などのアレルギー疾患がある方は、アトピー性皮膚炎になる確率が高い。
2つ目の原因としてサイトカイン(「IL‐4」や「IL‐13」)が原因で免疫のバランスがくずれることがあげられます。

——診断は。
アトピー性皮膚炎の湿疹は、手首や肘、膝などで左右対称に出やすく、その湿疹が半年以上続き、アトピー素因(家族歴や血液検査でIgEの値が高い)が認められる場合にアトピー性皮膚炎と診断します。

——治療は。
アトピー性皮膚炎の症状は、良くなったり(寛解)、悪くなったりを繰り返します。そこで治療では①「寛解導入療法」と②「寛解維持療法」の2つの治療法が中心になります。先ほどのサイトカインを抑える生物学的製剤「デュピクセント」が昨年5月に使われ、注目されています。
症状がひどい場合には、ステロイド軟膏(塗り薬)や「シクロスポリン」(飲み薬)、そして「デュピクセント」(注射薬)をうまく組み合わせて治療します。まずはステロイド軟膏を使い、治療費や副作用の面を考慮しながら他の薬を使い分けることが大切です。
次によい状態を維持する「寛解維持療法」では、週2回、プロトピック軟膏やステロイド軟膏を使う「プロアクティブ療法」を行います。そのほか、保湿剤やかゆみ止めの薬も併用します。
北大では寛解導入療法の際に、1、2週間入院する「教育入院」も実施しています。

【皮膚がん】黒い腫瘍のメラノーマと基底細胞がん 赤い腫瘍の有棘細胞がん

▲札幌医科大学
皮膚科
宇原 久教授

——皮膚がんの種類は。
皮膚がんには多くの種類があるが、主に4つについて説明します。
①基底細胞がんは、顔の中心部にできやすい黒い腫瘍です。特徴は、小さくても出血しやすく、かさぶたができて剥がすと血が出る。エナメルを塗ったようにつやつやと黒く光る腫瘍で、特に下まぶたから鼻にできやすい。
基本的に転移しないので、基底細胞がんで亡くなる方は極めて稀です。ただ、顔の中心にできるので、切除した後に形を治す処置が必要になります。
②有棘細胞がんは、長期間紫外線に当たることによりできます。高齢者の顔や耳にできやすい。最初は1センチ大までのカサカサした発赤(日光角化症)で、進行すると盛り上がってきます。
治療は、早い段階だと塗り薬(イミキモド)や液体窒素による凍結を行います。進行してしまうと手術になります。

——メラノーマや乳房外パジェット病は。
③メラノーマは、日本人では、症例の半分は手足にできますが、残りの半分は体のどこにでもできます。
多くは1センチ以上のサイズで、思春期後に新たにできた黒いシミで7ミリを超えた場合や爪の黒い線が太くなり、爪周囲の皮膚にもシミが出てきたときは、皮膚科にかかってください。
治療は手術のほか、近年ではニボルマブやペンブロリズマブのような抗PD‐1抗体による免疫療法が登場し、治療効果が上がっています。
④乳房外パジェット病は、陰嚢や陰茎、膣周辺の皮膚にできます。陰部に形の変わらない平らな発赤が何年もある場合は、皮膚科を受診してください。
診断は皮膚生検で、治療は手術です。

【乾癬】頭や肘膝などを中心にカサカサした赤い皮疹ができる

▲旭川医科大学
皮膚科
本間 大准教授

——乾癬はどういう病気なのですか。
乾癬では、特に頭、肘膝、腰などを中心にカサカサした赤い皮疹がみられます。これらの皮疹は一定のかゆみを伴うことが少なくありません。

——治療は。
皮膚病の治療でよく使われる塗り薬のほか、免疫抑制剤などの飲み薬、生物学的製剤の注射薬があります。薬のほかには紫外線を浴びる治療があります。この紫外線は太陽の光と違い、日焼けを起こす紫外線は除いて治療効果がある紫外線のみを使用しているため、皮膚の障害は少ない。以前は、紫外線を当てる前に薬風呂に入ったり、薬を塗る必要がありましたが、新しい紫外線治療ではその必要がないため、非常に簡便です。
治療の選択については、基本的に重症度や現在行われている治療の効果をみて、全身的な治療を行うかどうかを決定します。
ただし、特に衣服で隠れない部位に皮疹があり、日常生活の上で支障がある場合にはより効果が高い治療法を用いることがあります。
最近、効果の高い生物学的製剤が乾癬の治療に対して使用できるようになってきました。これらの薬剤は現在ある乾癬の皮疹が75〜90%程度改善すること(ほぼ皮疹がない状態)を目標にできる治療法で期待できます。
この生物学的製剤は基本的に注射で使用します。点滴のほか、皮下注射の薬があり、2週間に1回から3ヵ月に1回の間隔で定期的に使用します。
結核にかかっている場合やB型肝炎がある場合には、使用できないことがありますが、定期的にⅩ線の検査や血液検査を行うことで大きな副作用が比較的少ないことがわかっています。

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