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ヘルスケア 〜症状から治療まで〜

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ヘルスケアイメージ

【女性の病気】乳がん、子宮がん、卵巣がんなどで困らないためにビフォー&アフター

 「ヘルスケア大百科」は病気にならないための健康情報に加え、診療科ごとに顕著な病気を専門医に解説してもらうシリーズ。7回目は女性が悩む乳がん、子宮がん、卵巣がんなどについて乳腺外科と産婦人科の専門医の意見を交え、わかりやすく紹介する。

【はじめに】日本人女性の12人に1人が「乳がん」



乳がん患者は、年間9万人を超え、日本人女性の12人に1人が乳がんに罹患している。

厚生労働省が今年1月に発表した「全国がん登録」集計では、女性のがんの中で「乳がん」が1位を占め、「大腸がん」、「胃がん」、「肺がん」と続き、5位に「子宮がん」がランキングされている(図1)。

乳がんの発症年齢別では、40代後半と60代前半が多い(図2)。子宮がんについては、子宮体がんが閉経前後の50〜60代に、子宮頸がんの方は30〜40代に多い。

【乳がん(チェック項目)】月経の累積回数が増えるとリスクが高まる

乳がんは女性ホルモンが関係する典型的な病気である。乳がんが増えた要因のひとつに食生活の欧米化があげられている。いまの女性は昔と比べて背丈が伸び、初潮が早くなり、閉経が遅くなった。その結果、女性ホルモンに長期間晒されて乳がんになりやすいことが指摘されている。

出産経験がない女性は、月経の累積回数が増えるため、出産の経験がある女性に比べ、リスクが2・2倍になるといわれる。

晩婚や未婚が多い高学歴の女性がリスクが高いのも同じ理由だ。

また肥満や飲酒、喫煙でも乳がんの発症リスクが高まる。アルコールは女性ホルモン(エストロゲン)のレベルを上げる。1日に缶ビール1缶相当飲酒する女性はまったく飲まない人の約3倍、閉経前の喫煙女性は非喫煙女性の約4倍という調査結果がある。

乳がんになりやすい人のチェック項目を一覧にした(図3)。参考にしていただきたい。

子宮体がん避妊用「ピル」ががん予防になる?
子宮体がんは「エストロゲン」と「プロゲストロン」の2種類のホルモンのバランスが崩れ、発症する。
避妊に使われる低用量ピルが子宮体がんの予防に効くようだ。「低用量ピルは、エストロゲンとプロゲストロンの両方を含むので、子宮体がんの発症を抑えるといわれている」と北海道大学の渡利英道教授。

【乳がん(診断)】「マンモグラフィ」では判別できない「高濃度乳房」に注意



「マンモグラフィ」とは、乳房専用のⅩ線撮影のこと。乳房を板で挟み込み、薄く伸ばして撮影する。マンモグラフィを使うと、乳房を触ってもしこりがわからないタイプの乳がんも、砂粒のような細かい影(微細石灰化病変)として診断することができる。マンモグラフィでは、乳房全体をくまなく写し出すために、複数の方向から撮影を行う(図4)。

だが、注意しなければならないのは乳腺の密度が濃い「高濃度乳房」の場合、マンモグラフィではがんの有無を判別できないことだ。高濃度乳房では、マンモグラフィの画像全体が白く写り、同じく白く写るがんと区別がつかなくなる(図5)。

そのため超音波エコーとの併用が不可欠だ。マンモグラフィとエコーの併用の場合、マンモグラフィだけの場合と比べて乳がんの発見率が1・5倍になるといわれている。札幌市の乳がん検診では、今年から40代の女性にはマンモグラフィとエコーの併用の検査が実施されるようになった。

高濃度乳房は弾力性があって、若干固く、若い人の乳房に多い。自分でわからない場合は、検診の際に確認することをお勧めしたい。

更年期障害「のぼせ」、「発汗」、「動悸」にホルモン補充療法
更年期は閉経前・後の5年間の45〜55歳の時期を指し、更年期障害は卵巣から出る「エストロゲン」の分泌が低下して発症する。
症状は「のぼせ」や「発汗」、「動悸」。治療はホルモン補充療法が行われ、専門医の指導のもとで服薬管理(薬剤の量と服用期間など)が大切。ほかに漢方治療が行われることも。

【食事】魚に含まれる「n‐3脂肪酸」や大豆食品がおススメ

飽和脂肪酸は、体内に摂取されるとエストロゲン受容体と結合し、乳がんの細胞増殖の原因になるといわれている。そのため飽和脂肪酸が多く含まれる脂身の多い肉(ばら肉や鶏皮など)やチーズ、バターなどの多量摂取には気を付けたい。

一方、マグロやサンマ、サバ、イワシなどの魚に含まれる「n‐3脂肪酸」は乳がんのリスクを低下させ、また豆腐や納豆、味噌汁などの大豆食品も乳がん予防によいとされている(図6)。

日本人女性で毎日味噌汁を「3杯以上」摂る人は「1杯以下」しか摂らない人に比べ、乳がんの発症リスクが約4割低くなるといった国立がん研究センターの研究結果もある。一度試してみては。

【運動】女性ホルモンの分泌を整え月経痛などを改善

冷えや月経痛など女性が悩む症状は多い。

ここでは女性ホルモンのエストロゲンの分泌のバランスを整え、血流やリンパの流れをよくすることで、冷えや月経痛などの解消によいとされるエクササイズ「おっぱい体操」を紹介する(図7)。


乳がん遠隔転移しないうちに薬物治療で再発を防ぐ

山下 啓子教授

▲北海道大学
乳腺外科
山下 啓子教授

——乳がんの種類は。
乳がんは、乳管をつくっている細胞から発生し、周囲に広がって「しこり」をつくります。「しこり」をつくる前段階を「非浸潤がん」(0期)と呼びます。
乳がんは通常、「しこり」で発見され、発見された時にはすでに「浸潤がん」です。
乳がんには①女性ホルモンが関わって発症するがんと②「HER2」というがん遺伝子が増殖して発症するがんがあって、それぞれ陽性と陰性の4つのタイプがあります。

——治療は。
非浸潤がん(0期)の場合は手術のみを行い、浸潤がんで遠隔転移がない場合(Ⅰ〜Ⅲ期)は手術(全摘もしくは温存手術)と薬物治療を行い、温存手術では放射線治療も行います。全摘の場合には乳房再建(保険適応)を行う場合もあります。
遠隔転移(Ⅳ期)の場合には完治できません。浸潤がん(Ⅰ〜Ⅲ期)では、手術だけでなく薬物治療を行って微小転移を根絶して再発を防ぐことがきわめて大切です。

子宮体がんホルモンのバランスの崩れによる細胞の異常増殖が原因

渡利 英道教授

▲北海道大学
産婦人科
渡利 英道教授

——子宮体がんと子宮頸がんは違う病気なのですか。
はい。同じ子宮がんでも子宮体がんと子宮頸がんとでは、原因や発生部位、がんの種類が異なり、当然治療法も異なります。
子宮頸がんはウィルスの感染が原因で、子宮の入り口に発生し、若年での発症が多い。子宮体がんの方はホルモンバランスの崩れが原因で、子宮の奥に発生し、閉経後の高齢の女性に多いんです。

——症状と治療は。
不正出血と、おりもの。閉経後なのに出血があったり、50歳前後で閉経したはずなのに閉経しない場合は要注意です。進行した場合には腹痛を伴います。
子宮体がんの場合、7割がⅠ期で、早期発見が可能です。早期がん(ⅠA期)では、腹腔鏡による内視鏡手術が増えています。再発がんでMSI検査で陽性の患者さんについては、分子標的薬の免疫チェックポイント阻害薬が昨年12月に子宮体がんで初めて保険適応になり、期待されています。

子宮頸がん細胞診とウイルス検査で診断月経との勘違いに注意

齋藤 豪教授

▲札幌医科大学
産婦人科
齋藤 豪教授

——発症のしくみは。
子宮頸がんはHPVというウィルスの感染で発症しますが、そのHPVは性交渉で感染します。

——注意すべき点は。
子宮頸部はからだの外側(膣)に近いところにあるので、出血とおりものが増えます。症状が出やすく早期発見しやすいんですが、月経の出血と勘違いして進行することもあるから注意を要します。性交渉のあとにいつも出血がある場合は疑ってみた方がよい。20歳以上の方は2年に1回のがん検診をお勧めします。

——治療は。
Ⅰ期とⅡ期は外科手術が適用になります。ごく初期の段階(Ⅰ期の前半まで)ではレーザーメスや超音波メスを使って子宮頸部を切り取る「円錐切除」を行い、それ以降は電気メスや超音波メスで子宮を切除する「広汎子宮全摘」を行い、昨年4月には腹腔鏡手術が保険適応になりました。Ⅲ期とⅣ期の進行がんについては抗がん剤と組み合わせて放射線治療を行います。

卵巣がん自覚症状がなくこわい「卵巣がん」分子標的薬で生命予後の改善も

千石 一雄教授

▲旭川医科大学
産婦人科
千石 一雄教授

——卵巣がんがこわい病気と言われる理由は。
初期はまったく症状がないのでこわい病気ですね。卵巣ががんで大きくなると、お腹が張る、ズボンやスカートがきつくなり、大抵は腹水がたまって初めて気づきます。
卵巣がんの症状が出るのはⅢ期で、すでに進行している場合が多い。自覚症状が出た段階でリンパ節に転移している場合が多く、その場合には外科的手術だけでは難しく、抗がん剤による治療を行います。抗がん剤治療では分子標的薬「オラバリブ」が昨年から再発卵巣がんに適用になり、期待されています。

最近、卵管上皮の悪性化が卵巣がんや腹膜がんになる可能性が指摘されていて、子宮筋腫や良性の腫瘍の手術の際に、卵管を一緒に切除することをお勧めしています。
卵巣がんは、早期に発見することが一番大切です。子宮頸がんの検診では超音波による卵巣の腫れをチェックできるのでぜひ、定期検診をお勧めします。

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