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男と女の事件簿

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「パパ活」にはまった 真面目校長の痛恨

【F市発】□月■日、警視庁はF市内の中学校校長田中芳郎(57)を脅迫の疑いで逮捕した。容疑者は以前交際していた東京都内在住の20代女性が復縁に応じないことに腹を立て、電話で「写真をばらまいて、生活できなくしてやる」と脅した疑い。2人はSNSの婚活アプリで知り合い、道内旅行などをしていた。その後、女性が別れ話を切り出すと、容疑者は逆に結婚を迫っていたという。

芳郎は教育熱心な校長として知られていた。元数学教師らしく生徒や教職員への指導も論理的で的確。これまで教頭、校長を歴任した学校では地域活動にも力を入れていた。当然、教育委員会の覚えもめでたく、周囲では「校長退任後は教育長にスカウトされるのでは」とささやかれていた。

そうした社会的評価の一方で、私生活は恵まれていなかった。

20代後半に同僚の紹介で見合い結婚した。美人で一目ぼれした相手だが、後でわかったことだが病的な潔癖症。1日に十数回も手を洗うばかりか、外出から帰ってくるたびにシャワーを浴びた。他人との接触を極端に嫌うのだ。

それが夫婦生活でも出る。初めこそ、求めに応じていたが、ある日、何気なく肌に触れようとすると、大声を上げて拒否。それ以降、妻は露骨に避けるようになって、1年もしないうちに離婚した。

以来、独身を通してきた。とはいえ、男としての欲求はある。月に一度は札幌に赴き、その手の店で解消していた。順調にキャリアを積む教師生活、そして学校を離れたら気ままな独り暮らし。若いうちは、自由でいいと考えていた。

しかし、50歳を過ぎて管理職に就いたあたりから、ストレスが溜まるようになった。「疲れを癒す家庭が欲しい」。周囲にそう漏らすようになった。

それで頼ったのが、スマホの婚活アプリだ。出会いの場であるマッチングアプリの進化形で、謳い文句は「AI(人工知能)が客観的に理想的な伴侶を探します」。その広告に誘われて、会費は月額5万円と高かったが、加入。3人目に紹介されたのが、都内に住む洋子だった。

洋子は29歳。製薬メーカーで派遣社員として働いていた。プロフィールに添付された全身写真を見ると、細面の美人。そしてスタイルもいい。「早くに父を亡くしたせいか、ファザコンです。結婚相手は尊敬できる年上の方がいいです」という自己紹介が気に入り、早速、メールで交際を申し込むと、洋子から返信が来た。

「校長先生なら尊敬できますね。私でよければ」

そして付き合いが始まった。といっても北海道と東京の遠距離だ。メールや電話で連絡を取り合うだけだったが、それでも1ヵ月も続くと恋人気分になる。そして洋子の趣味が旅行と知って、電話で道内旅行を持ちかけた。

「夏休みに北海道旅行をしませんか。飛行機のチケットとホテルを用意します」

「北海道に憧れていました。嬉しい」

話はとんとん拍子に進み、8月上旬、洋子は新千歳空港に降り立った。写真通り、好みのタイプ。芳郎は小躍りしてマイカーで、ラベンダーが見ごろの富良野に向かった。そして、その夜は忘れられないものとなった。

洋子は敏感だった。ディープキス、そして小さな乳房をもむだけで、体をピクンピクン跳ね上げ反応した。秘所に舌を這わせていくころにはシーツに染みができるほど濡れ、「ちょうだい」としがみついてきた。

1度絶頂を迎えた後が、また良かった。「こんなこと、あまりしないんですよ」。洋子はそう言いながら、まだ淫靡な臭いを放つ芳郎の分身を口に含んだ。裏筋を丹念に舐め上げ、敏感な雁首を唇でしごく。昼間の清楚なイメージとはかけ離れた妖艶さ。そんな行為を見せられて興奮しないわけがない。朝までに3回交わった。3泊4日の旅行中、芳郎は骨抜きになった。

最終日は札幌。「旅行の記念が欲しい」という洋子に芳郎は駅前の百貨店で30万円ほどのブルガリのリングを買い、「婚約指輪の先取りと思って下さい」とプレゼントした。その夜、ベッドで「会えなくなると思うと寂しい」と芳郎が囁くと、洋子は自ら下着姿であられもないポーズをとって、スマホで撮影させた。「これを見て我慢して」という意味だった。

夏が過ぎても芳郎は浮かれていたが、1通のメールがその高揚感を打ち砕いた。

「あなたのこと、お母さんに反対されました。親子ほど年齢が離れていることがショックだったようです。私のことは忘れてください」

驚いた芳郎は何度も電話を掛けたが繋がらない。メールで「お母さんを説得する」と送っても、「夏の思い出にしましょう」と取り合わない。

たまたま繋がった電話でも堂々巡りが続いた。業を煮やした芳郎は「付き合いをやめるのなら、ここにある君の写真をネットで拡散させるぞ」と声を荒らげた。洋子を失いたくない一心から出た言葉だが、慌てた洋子は警察に駆け込んだ。

逮捕後、取り調べの刑事が言った。「あの子はパパ活をやっていたんだ。地位の高い熟年に取り入って、カネをせびるってやつ。偉い人は騙されても、世間体もあって黙っていることが多いから」

「まさか」

「アンタは逮捕されたが、本当は被害者だ。最近の若い娘は怖いね。同情するよ」

刑事はそう口ではいいながら、顔はせせら笑っていた。

 

(実際にあった事件をヒントにした創作です)

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