【2021年10月号掲載】

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「緊急画像連携システム」導入で脳梗塞の治療開始時間を短縮

▲西尾 明正副院長・
脳血管内治療センター長

脳梗塞のような脳内血管の動脈閉塞は、治療開始(血流の再開)が早ければ早いほど、予後がよいとされている。そのため発症から治療までの時間短縮が大きな課題になっている。

とりわけ十勝管内は広大なため、救急搬送に時間がかかるのが実情だ。たとえば広尾町や足寄町の搬送時間は1時間20分程度、えりも町の場合にはおよそ2時間である。

帯広市内の北斗病院は、十勝管内の医療機関からオンラインで送られてきた患者の画像を同院の専門医が即時に診断することで救急搬送の判断に役立てる「緊急画像連携システム」を2019年10月に導入し、今年5月にはシステムを更新した。

このシステムは脳神経外科と循環器科の疾患で運用され、現在まで広尾町国保病院と浦幌町立診療所、足寄町国保病院、本別町国保病院の4施設で導入されている。

通常の場合、救急搬送後に患者の状態を診て評価を行い、治療計画を立てて治療を開始するが、このシステムを使えば、患者の画像データにより搬送中に事前診断と治療の事前準備が可能になり、患者が病院に到着してから治療開始までの時間を短縮できる。

前述したように脳神経外科の治療は、〝時間との闘い〟だが、画像情報の送受信では「IDパスワード」の入力やアップロードなど手間がかかっていた。そのため同病院は今年5月にシステムを更新し、より簡易な操作で画像を共有し、かつ患者の情報のセキュリティーを強化した。

北斗病院連携システムイメージ

これまでも同院ではDrip and Ship(血管内治療を含むより専門的な診療が可能な施設に脳梗塞患者を搬送する)取り組みを積極的に行っており、救急搬送先から同院までの中間地点まで医師が自院の救急車で向かい、救急車に乗り込み治療を開始するなど、管内での脳疾患治療に取り組んできた。

今回、画像共有による遠隔診断が可能になったことから、画像を通じて北斗病院の専門医が地域の医師の相談に対応(診療コンサル)することで遠隔地の患者が北斗病院に赴くことが少なくなり、地域の医療機関で診療を完結する事例も増えたという。

利用している医療機関からは、「電話だけではニュアンスが伝わらないことがあったが、画像を見ながらリアルタイムに相談することで的確に判断できる。患者情報のセキュリティ面でも安心して利用できる」との声が届いているという。

「地方の自治体病院にはCTなどの高額な医療機器を揃えており、このシステムを活用することでその有効活用にもなる。ドクターヘリのない十勝では、このシステムは治療開始時間の短縮に有効で、また地域の医師に対する診療コンサルとしても役立ててもらえれば」と西尾副院長。