道民雑誌「クォリティ」は、政治・経済をはじめ、北海道のすべてがわかる総合月刊誌です。

男と女の事件簿

  • HOME »
  • 男と女の事件簿

男と女の事件簿イメージ

「女性の着替えを見たかった」 施設長の呆れた行状

【M市発】□月■日、M署はデイサービス施設の職員更衣室に盗撮目的で小型カメラを仕掛けたとして、施設の経営者(54)を道迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。経営者は「女性の着替えを見たかった」と容疑を認めている。監督権限を持つM市はこの不祥事を受けて、施設閉鎖の検討に入った。

人間、半世紀も生きてくれば、何かしら諦観を持つものだ。それが年齢相応の分別につながる。といって人生百年時代では、50代はまだ折り返し地点。このまま人生を終わりたくはないという焦りもある。だから、50代は諦観と焦りが入り乱れた危険な年ごろだ。
上原昇もその年代だ。市役所で長く福祉行政に携わり、その間に介護福祉士やケアマネージャーの資格を取り5年前、預金など2000万円をつぎ込んで市から借り上げた旧公民館を改造。念願のデイサービス施設「もみじ」を開き、施設長を兼ねている。
現在、利用しているお年寄りは60人。職員も准看護師や介護福祉士、作業療法士7人を抱えている。職員は全員、女性。昇が直々に面接して採用しているだけに、皆、それなりに美人で熱心。受けも良く、利用者は増え続けている。
開所当初こそ資金繰りなどで忙しかったが、今は近くの老健施設とも提携して運営は順調そのもの。時間に余裕ができたせいか、最近はロクなことしか考えない。制服姿の職員を見るたびに邪な感情を抱いてしまうのだ。3歳年下の妻との関係は、俗にいう「盆暮れ」ぐらい。といって、まだ男盛り。しばらく眠っていた欲望が蘇ってきたらしい。
最近、目で追うのは、大学卒業後にすぐに就職し、今年3年目になる作業療法士の好美だ。お年寄りのリハビリを手伝うため、ユニフォームは動きやすいようにジャージーで、上着はピンクの半そで、下は膝丈の白のパンツの軽装だ。
好美は機能回復訓練室で多くのお年寄りを相手にする。利用者がよろけると、かがんだり中腰になって支えたりと結構、仕事はハードだ。そのたびに伸び縮みするユニフォームが体に食い込み、むっちりしたボディラインが浮かび上がる。ドキッとする場面だ。
ベテラン介護士の可奈子もお気に入りだ。年齢は42歳。離婚し、シングルマザーとして一人娘と暮らしている。母親らしい所作で男の通所者に人気がある。白衣のパンツルックだが、それが大柄で熟れた体を際立たせ、好美にはない熟女の色気を感じさせた。

通ってくるお年寄りは70代が多く、男女半々だ。女性は問題ないが、心配なのは男性利用者だ。体は多少不自由でも、男としての「残り火」を持っているからだ。
ある日、奥の更衣室から悲鳴が響いた。昇が駆け付けると、声の主は好美だった。
「田中さんがドアを少し開けて着替えをのぞいていたんです。鍵をかけ忘れちゃって」
田中とは78歳の男性利用者。脳梗塞の後遺症で、右半身が不自由だ。それでも男。まだ、若い女の子の体に興味があるのだろう。
「ほかに変なことされなかった」
「いえ、のぞかれただけです」
「わかった。私から注意しておこう」
昇はすぐに田中を施設長室に呼んだ。
「田中さん、だめだよ、のぞきなんて」
「センセイ、今の若い娘って、すごいね。制服だけを着替えるんじゃなく、下着も取り換えるんだから。びっくりした」
「まぁ、ユニフォームは生地が薄くて透けるから、色物の下着はつけないって聞いたことあるよ」
「あの療法士、黒の下着をパッと脱いで白いパンツに履き替えてさぁ。その時、素っ裸。びっくりした」
「またやったら、もう通わせないからね」
そう言って田中を返したが、好美のムッチリした肢体への妄想が膨らんだ。以来、「どんな仕草で着替えているのか。見てみたい」。欲望に取りつかれた。

そんな昇が通販で入手したのは小型カメラ内蔵のデジタル時計だった。電源さえ確保できれば、メモリー一枚で3日分の記録が目にできる優れモノだ。
数日後、職員たちが帰り、夜の警備員が来る隙を突いて、更衣室のテーブルの上にセット。3日後、メモリーを回収し、別のメモリーと取り換えた。
その夜、妻が寝付いたことを確認し、自室のパソコンにメモリーを差し込んだ。画面に出てきたのは数人の着替え姿だった。その一人は好美。肉付きがいいからすぐわかる。若いからぱっぱとユニフォームを脱ぎ捨て、手際よくスカートとブラウスに着替えていく。
こんもり盛り上がった胸、そしてパンティが張り付いたヒップ。若い娘の体は迫力がある。下着こそ履き替えなかったが、それでもパンティストッキングを履く仕草は大胆で昇の股間は久しぶりに疼いた。
他に数人の着替えを楽しんだが、興味のあった可奈子が写っていない。3日に1回、メモリーを取り換えるたびに「きょうこそ、あの熟れた裸を拝める」と期待したが、空振りが続いた。理由は簡単だった。それまでのカメラの向きでは可奈子のロッカー前が写らないのだ。翌早朝、カメラ付きの時計を置き直した。
その日の午後である、可奈子ら数人が施設長室に押しかけてきたのは。
「時計の向きがきのうと違うので、動かしているうちに蓋が空いてこれが出てきました」
そう言って可奈子が小型カメラを差し出した。
「施設長ですよね、時計をセットしたのは」
職員たちに厳しく詰問されて、昇は黙るしかなかった。

 

(実際にあった事件をヒントにした創作です)

PAGETOP
Copyright © 月刊クォリティ All Rights Reserved.
このページに掲載された内容の著作権は、株式会社太陽に帰属します。 無断での複製・掲載・転載・放送等を禁じます。

※コンピューターの漢字表示制限により、一部の漢字をひらがな等で表記している場合があります。