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男と女の事件簿

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男と女の事件簿イメージ

おっぱいフェチ 抑えられぬ欲望

【I市発】■月□日、S中央署はI市内の歯科医今野義弘(63)を準強制性交の疑いで逮捕した。調べによると、容疑者は経営していた歯科医院で治療と称して20代の女性を抵抗できない状態にして暴行した疑い。「ムラムラしてやった」と供述しているという。

いくら年齢を重ねても、どんな地位にあろうと、抑えられないのが性衝動である。事件が発覚して「なぜ、あんな立派な人が」と驚くことが多い。

義弘は親の代からの歯科医院を継ぎ、地元では様々な団体に名前を連ねる名士。家庭的にも一緒に働く跡取りの長男に最近、孫が生まれたばかり。人もうらやむ環境にあるといっていい。性格も温厚だが、そこは人間。他人には言えぬ「別の顔」を持っていた。

「おっぱいフェチ」なのだ。幼いころから、豊満な胸を見ると、いてもたってもいられなくなる。「母乳で育たなかったから」。勝手にそう信じ込んでいる。

妻とは親に勧められるまま見合いして結婚した。美人で愛想もいい。ただ、胸が薄く、そこだけが不満だった。それなら風俗に通って欲望を満たせばいいものだが、玄人には魅力を感じない。リピドーが動くのは決まって歯の治療に通ってくる患者。だから厄介だ。

今も目の前の診療台に座る30代の人妻の胸に目が釘付けになっている。薄手のサマーセーターを通してもわかる盛り上がり。下着の中はどうなっているのか。そんな想像をするだけで、白衣の下の股間が充血する。そばに歯科衛生士もいるし、一つ席を空けた診療台では長男が治療のまっ最中だ。

しかし、欲望は抑えられない。虫歯を研磨していると、肘が胸に当たることがある。歯が削られる音は緊張するものだ。そして、その音が大きくなるほど、患者は恐怖感から体をのけぞらし、時に肘に乳首を押し付けることもある。今回もそうだ。

およそ30分の治療が終わると、患者の顔が上気していた。それは緊張がほどけたからか、それともほどよい刺激を受けたからか。義弘は患者の顔を見ながら、ほくそ笑んでいた。

若い女が駆け込んで来たのは土曜日の午後3時過ぎだった。本来、土曜の診療は午前中で終わり。長男も出かけ、歯科衛生士も帰宅して医院にはカルテ整理のため残った義弘一人だった。

「朝から奥歯がひどくやんで」

口中を見ると、オヤしらずが化膿していた。

「これはひどい。すぐに抜かなきゃ大変なことになる」

「センセイ、お願いします」

「ちょっと時間がかかるよ。麻酔も使うから」

うがいをさせ、患部に麻酔を打った。痛みが取れたのだろう。女の表情も緩んだ。抜歯は意外と簡単に終わり、膿も器具で抜いた。後は腫れが引くまで安静にさせるだけ。

久しぶりにすべてを一人でこなしたせいか、義弘は妙に興奮していた。その時、目が女の胸にいった。はち切れそうなお椀型だ。崩れていない。よくよく見ると、小顔だが体は肉感的。義弘好みだった。

「まだ痛むようなら、ちょっと眠くなるけど、鎮静剤を使おうか」

女は頷いた。

「気持ちが落ち着くように顔に布をかけるよ」と言うと、女はまた頷いた。

薬の効果はてきめんだった。数分で女は軽い寝息を漏らし始め、それと同時に豊かな胸に手をやった。ピクリとも動かない。それを確認してから、ブラウスの前ボタンをはずし、ブラジャーも押し上げた。形のいい胸だ。乳首も大きい。

右の乳首を口に含んだ。舌で転がすと、勃起した。寝ていても体は反応する。舐めていない左の乳首もしこり始めている。そちらも口に含み、そして甘噛みした。それでも女は寝息を立てている。

今度はスカートの中に手を入れてみた。ストッキングの上から触った秘所が火照っているのか、生暖かい。そして二度三度と指を往復させ、ストッキングの上から舌を立てた。そこは敏感ゾーンだ。さすがに女は体をよじったが、それにかまわず蜜壺に指を押し込んだ。若さゆえの圧迫感。時間にして30分ほど。腰がわなわな震えるほどの興奮を感じた。

「センセイ、何かしましたか」

目覚めると女がそう聞いてきた。ブラウスがちょっとはだけ、下腹部にも違和感があったからだ。

「何のことだい。うわごとを言っていたから夢でもみたかな」

「それならいいです」

「痛みは治まったかい」

「はい、おかげさまでだいぶ楽になりました」

そう言って女は歯科医院を出たが、納得がいかない。

帰る道すがら、大型スーパーのトイレにこもって、体を隅々まで点検したところ、ストッキングの股間部分に舐められたような痕跡が残っていた。そして乳首にも噛まれたような小さな傷を見つけ、すぐに警察に向かった。

経緯を話すと、応対した女性警官が言った。

「体を調べましょう。唾液の跡が残っているなら、DNAから犯人がわかりますから」

翌日、義弘の自宅に刑事が現れ、DNAの提供を求められ、鑑定の結果、逮捕された。

「わいせつ歯科医、逮捕」のニュースがネットなどに流れると、「私も胸を触られた」などという患者からの情報が警察に寄せられた。

「これまでにも同じようなことをやっていただろう」「いや、していません」

取調室では堂々巡りが続いた。

 

(実際にあった事件をヒントにした創作です)

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