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男と女の事件簿

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堅物の消防司令を狂わせた 制服フェチのセレブ妻

【S市発】■月□日、S市消防本部は勤務時間中に制服姿で消防車両を使って、不倫相手と密会していたとして、50代の消防司令を減給10%3ヵ月の懲戒処分とした。外部からの情報で発覚。司令は「相手から制服姿が見たいと言われ、断れなかった」と話しているという。

人間誰しも、こだわりがある。それが高じると病的な執着、偏愛につながっていく。いわゆるフェチである。フェチといえば、男の専売特許のように語られることが多いが、女にもある。それがかなりの部分、性癖と重なるため男と違って口を閉ざしているのだ。

裕美は48歳の開業医夫人である。経済的にも恵まれ、2人の子供も有名私大に進学。他人もうらやむセレブ生活を送っていた。

その裕美には秘密があった。制服姿の男を見ると、腰骨がわなわな震えるほどの興奮を覚えることだ。制服フェチなのだ。

それは初体験の男が制服の似合う自衛官だったことと無縁ではない。高校3年の秋、海自に入った先輩に呼び出されて強引にバージンを奪われた。その時、先輩は海自のスマートな制服を着こみ、それにポーっとしたというわけだ。

恋愛感情はさほどなかったが、年ごろだ。セックスに興味があり、短大時代を含め、2年間、付き合った。その間、「会う時は制服で来て」とせがんだ。りりしい制服姿はオスの本能を映し出し、性感を刺激したのだ。以来、制服姿の男に執着するようになった。

裕美は身長も高く、スタイルもいい。何より、すっきりした瓜実顔の美人。OLになってからも男が放って置かなかった。だが、裕美が選んだのはいつも警察官やパイロットの卵など、制服の男たちだった。今の夫とも白衣という制服姿にあこがれて結婚したが、やはり興奮するのは羽織る白衣ではなく、上下きちっと決めた制服だった。

結婚してから制服フェチの衝動を抑えていたが、それが最近、蘇った。長男、長女が進学で家を巣立ったのを機に書道教室に通い始め、そこで吉井隆に出会ったからだ。

隆は53歳。スリムで長身、ハンサムだ。裕美が床に落とした筆を隣席の隆が拾ってくれ、あいさつを交わすようになった。

その日、書道教室が終わって玄関に出ると、外は土砂降りだった。困っていると、背後から隆が声をかけてきた。

「お家はどちらですか。車で送りますよ」

車内で話が弾んだ。隆は自分から消防本部で司令をしていると素性を明かした。そして昨年まで消防署長を務め、今は本部に所属し大火事になると現場で指揮を執る大隊長を務めていることなどを語って聞かせた。

「普段は制服なんですか」

裕美が切り出した。

「そうですよ。仕事中はね」

「男性の制服姿って素敵。今度、見たいわ」

2人はメールアドレスを交換して別れた。

数日後、裕美からメールが届いた。

「今、買い物が終わって帰宅途中で、消防本部の近くにいます。制服姿が見たいんですが」

ちょうど、勤務時間が終わった後だ。隆は指定された駐車場に着いて、ベンツに乗り込むと、裕美は目を輝かした。

「仕事はもう終わって、あとは着替えて帰宅するだけです」

「きょうは夫が出張なの。ドライブに行きませんか」

「じゃ、着替えて来ます」

「そのままで」

裕美は唐突に車を発進させ、着いたのは郊外のラブホテルだった。

部屋に入ると、裕美は積極的だった。まごまごしている隆の唇を求め、舌を絡ませてきた。そして制服を脱がせにかかった。上着からズボン、ネクタイ、支給品のYシャツまで。一枚、一枚丁寧に匂いを嗅ぎながら。目がトロンとしている。明らかに興奮している。

ベッドの上でも大胆だった。自ら足を広げ誘ってくる。秘所は十分に濡れていた。

「舐めて」

そう漏らす裕美は書道教室での清楚な裕美ではなかった。そのギャップが隆を興奮させた。裕美は一度、終わっても隆の筋肉質の体を弄び、離さない。その日だけで3回交わった。

終わった後、裕美は隆の厚い胸板に舌を這わせて、ささやいた。

「また、制服で来て」

愛妻家の堅物で通っていた隆は初めての浮気に夢中になった。呼び出されるや、せっせと裕美が指定した場所に制服を着て出かけた。そのたびに隆は満足したが、困ったのは呼び出しが昼間だろうが夜勤の途中だろうが、おかまいなくなったことだ。裕美は欲情すると、すぐに連絡して来るらしい。

都合がつかないなら断ればいいものだが、裕美の体に溺れた隆はそれができない。

その日は夜勤だった。

「会いたい」

メールで誘われ、隆は部下に「パトロールに行く」と言い残して消防指揮車で約束の郊外の大型スーパー駐車場に向かった。

裕美が指揮車に乗り込んできた。

「この男くささがたまらない」

興奮した裕美は唇を重ね、股間に手を伸ばしてきた。

「ここじゃ、誰かに見られる。まずいよ」

でも、裕美の愛撫は止まらない。互いに体をまさぐり始め、息を荒くした時。「まずい」という隆の予感は当たった。配下の消防団幹部が指揮車を見つけ近づいてきたのだ。

翌朝、隆は上司の本部長に呼ばれ、謹慎を命じられた。

 

(実際にあった事件をヒントにした創作です)

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