【2020年8月号掲載】

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「ダヴィンチ」を駆使した 低侵襲心臓手術を実施

 

▲橋本 誠
心臓血管外科科長・低侵襲
心臓手術センター長

札幌心臓血管クリニックは、ロボットによる「ダヴィンチ手術」を駆使した低侵襲心臓手術を昨年6月から実施している。

この手術で中心的な役割を担うのが橋本誠医師である。

橋本医師の専門は、低侵襲心臓手術。僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症のような弁膜症や狭心症、心筋梗塞のような冠動脈疾患では、従来は胸に20センチ強の創口から胸骨を切除して万力で骨を広げて手術する(胸骨正中切開)のが一般的だった。だが、感染症や肺炎などの合併症のリスクが高く、痛みや術後の動作制限(3ヵ月程)があり、入院期間も1週間〜10日。またケロイド状の手術痕が残るなどの弊害があった。

▲「ダヴィンチ手術」

一方、橋本医師が行う低侵襲心臓手術(MICS)は、胸の左右を小切開(4〜6センチ)し、肋骨の隙間から心臓を手術。この手術では肋骨や周辺の筋肉に負担をかけずに手術ができ、痛みもほとんどない。入院期間も3〜5日で済み、早期回復と早期社会復帰が可能で、合併症のリスクが少なく、手術痕も目立たない。ただしカメラやメスなどの手術器具を小切開から挿入するため可動範囲が制限され、また狭い視野の状況の中で手術を行うことになり、術者の側に熟練した手技と経験が必要になる。橋本医師はこの低侵襲心臓手術を年間80例程実施している。

さらに同院が昨年6月に導入したダヴィンチ手術は、この低侵襲心臓手術のデメリットを補完するもので、術者は手術場から離れた場所(コンソール)でモニターを見ながらカメラとロボットアームを操作、実際の手術はロボットが行うものだ。拡大率の高いモニター画面により視野がよい状態の中で精密な手術が可能となる。

「このダヴィンチ手術は低侵襲心臓手術を進化させたもので、将来的には遠隔診断と組み合わせることで遠隔治療に活用され、医療過疎地での地域医療に大きく貢献するでしょう」と橋本医師。

ただしダヴィンチを操作する側に低侵襲心臓手術と同様の手技や経験が必要になるという。橋本医師はダヴィンチ導入にあたって昨年、米国シカゴ大学留学で3ヵ月間、ロボット支援下の完全内視鏡下冠動脈バイパス術(TECAB)の研修を受けた。同院では、このダヴィンチ手術をいままでに30例程、実施している。

橋本医師のモットーは「今日より明日の方がよい手術を行うこと」。「低侵襲な治療の追求は私のライフワーク。日々の研鑽を通じて患者さんに最高の医療を提供していきたい」(橋本医師)

橋本 誠 心臓血管外科科長・低侵襲心臓手術センター長(はしもと まこと)
島根大学医学部卒。札幌医科大学、榊原記念病院(東京都)、米国シカゴ大学(クリニカルオブザーバー)を経て、2014年4月から札幌心臓血管クリニックに勤務。日本外科学会専門医、心臓血管外科専門医、ロボット心臓手術関連学会協議会認定術者、医学博士。