【2019年9月号掲載】

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高齢でも受けられる弁膜症の「TAVI」、「マイトラクリップ」治療

▲八戸 大輔
循環器内科科長・ストラクチャーセンター長

同院が行う心臓カテーテル治療の症例数は年間2000例以上で、全国トップクラス。なかでも従来、負担が大きくて外科手術が受けられなかった高齢の患者に対し、カテーテルによる低侵襲の内科治療を実施、注目を集めている。

その1つが大動脈弁狭窄症におけるTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)。大動脈弁狭窄症は、動脈硬化により心臓の左心室と大動脈を隔てている大動脈弁が狭くなり(石灰化)、弁がうまく開かなくなる病気で、高齢者に多い。TAVIは、太ももの付け根の太い血管(動脈)からカテーテルを挿入し、開胸せずに大動脈弁を人工弁に取り換える画期的な低侵襲治療である。

手術時間は30〜40分程度。八戸大輔医師は、通算500例以上のTAVIを経験してきた。

「大動脈弁狭窄症の患者さんは非常に増えており、今後この治療の適用範囲が広がっていくと期待されています」と八戸医師。

ただし大動脈弁狭窄症では、外科手術が必要な場合もあり、同院では外科医(心臓血管外科医)と内科医(循環器内科医)、エコー医(超音波診断医)がハートチームを組み、検討を重ね、患者の病状に応じた治療の選択を行っている。

またこの治療には、冠動脈閉塞や血管損傷、不整脈などの合併症も懸念される。同院では、CTやエコーの検査で前述の三者が詳細な治療戦略(ストラテジー)を立て、合併症のリスク回避に努めている。

「術前のスクリーニング(検査)で、治療の8割が決まります。予想されるリスクを想定しながら患者さんにとって最もリスクが少なく、かつ効果的な最適の治療を選択しています」(八戸医師)

同院が今年6月から実施し、話題を呼んでいるもう1つの治療が僧帽弁閉鎖不全症のカテーテルによる「マイトラクリップ」治療だ。

僧帽弁閉鎖不全症は、左心房と左心室を隔てる僧帽弁の開閉が悪くなり、血液が左心室から左心房に逆流する病気である。マイトラクリップ治療では、足の付け根の静脈からカテーテルを挿入し、カテーテル先端にあるクリップで僧帽弁の前尖と後尖をはさみ、逆流を抑える。この治療が日本で行えるようになったのは昨年4月からで、現在道内でこの治療を実施しているのは、同院を含めて6施設しかない。

手術時間は1〜3時間。八戸医師は、イタリア留学時代に、この治療を通算50例以上経験してきた。

「TAVI同様、高齢のため、いままで外科手術が受けられなかった患者さんが体に負担なく治療を受けられるメリットは大きい」(八戸医師)

そのほか同院は、道内38医療機関を対象に循環器の専門医を派遣する「サテライト外来」を実施、へき地医療のサポートと心臓病の早期発見に努めている。

2015年6月には厚生労働省の「外国人医師臨床修練病院」に指定され、中国や香港の研修医が同院でカテーテル研修を受けるなど、海外研修にも力を入れている。市民講座「札幌ハートセミナー」を年2回実施、今年は10月5日に江別市民会館で開催される。

八戸 大輔循環器内科科長・ストラクチャーセンター長(はちのへ だいすけ)
旭川医科大学卒。札幌東徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院などを経て、2015年から札幌心臓血管クリニックに勤務。韓国国立全南大学、イタリアサン・ラファエル科学研究所コロンブス病院に留学。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本心臓血管インターペンション治療学会認定医、日本再生医療学会認定医、日本感染症学会感染管理医師。